「勇気を出して、どんどん挑戦してみよう」と言われたことがあっても、

「弱さをみんなの前でさらけ出せることが大事だよ」

「勇気ある行動は弱さを見せることでもあるんだよ」

などと言われて育った方は少ないのではないでしょうか。

今回のブログ記事では、ブレネー・ブラウン氏の勇気ある「弱さを見せる」という行動が具体的にどのようなことを指しているのか?それがどのように人の成長に繋がっていくのかを紐解いていきます。

もくじ
1. 弱さを見せる(vulnerability)とは?TEDで広がったコンセプト
2. 勇気(courage)とは?ルーズベルトの名言
3. 周りの人たちと繋がりを強く感じる人の共通点とは?
4. 「ジョハリの窓」から見る自分の弱さを見せることと成長の関係
5. まとめ:弱さを見せる勇気に果敢に挑む


1. 弱さを見せる(vulnerability)とは?TEDで広がったコンセプト

Vulnerability(バルネラビリティ)という言葉がブレネー・ブラウン氏の研究により幅広く広がっていきました。

2010年に米国ヒューストン市で行われた彼女のTed Talk「傷つく心の力」(The Power of Vulnerability)は世界中で5000万回以上再生され、Ted Talkの中でも最も再生回数の多い動画の一つです。

Vulnerabilityとは、日本語に訳すのが難しい概念ですが、「自分の弱さを人に見せること」「自分の弱さと向き合って認めること」「人の弱さを受け入れること」などの意味合いがあります。

ブラウン氏は、人との関係性(connection)を研究していく中で、関係性を築く上で勇気を持つことがとても大事だということに着目しました。何千人ものインタビューのデータから見えてきたパターンを分析したところ、その勇気には「弱さを見せる」というvulnerabilityが関わっていることが見えてきました。

2. 勇気(courage)とは?ルーズベルトの名言

「勇気」という言葉を聞くと果敢に挑戦している強い人をイメージされる方もいるのではないでしょうか。

勇気は英語でcourageと訳されますが、元々はラテン語のcor 「心」という言葉に基づいており、自分自身が何者なのかを心の全てを持って伝えるという語源があると言われています。

ブラウン氏が説明している「勇気」も上記のcourageの元々の意味合いに近いです。
また彼女の本のタイトルにもなっているDaring Greatlyという言葉は米国大統領フランクリン・ルーズベルトが勇気ある人に関して語っている名言から引用されています。

「批判する人に価値は無い。観客席から行動した人間を指してどうすれば良かったとか、どんな風につまずき失敗したのかと指摘するだけの人に価値は無い。埃と血と汗にまみれて努力した競技場に立つ人に名誉は与えられるのだ。競技場に立つ人は、うまくいけば勝利を得るし、失敗すれば敗北を喫する。しかし、失敗し敗北したとしてもそれは果敢に挑んだ結果なのだ」


“It is not the critic who counts; not the man who points out how the strong man stumbles, or where the doer of deeds could have done them better. The credit belongs to the man who is actually in the arena, whose face is marred by dust and sweat and blood; who strives valiantly; who errs, who comes short again and again, because there is no effort without error and shortcoming; but who does actually strive to do the deeds; who knows great enthusiasms, the great devotions; who spends himself in a worthy cause; who at the best knows in the end the triumph of high achievement, and who at the worst, if he fails, at least fails while daring greatly”

Franklin Roosevelt

完璧な姿ではなくとも、競技場に足を踏み入れ果敢に挑む。そのためには自分の弱い部分と向き合い、周りの人たちにもその姿をさらけ出す必要がある。

この行動こそが勇気ある「弱さを見せる」となります。ではなぜ人との関係性や成長においてこの「弱さを見せる」という点が大事になってくるのか。

3. 周りの人たちと繋がりを強く感じる人の共通点とは?

ブラウン氏が何年もかけて収集したインタビューやデータから、「人とのつながり」が人生の幸福などにおいても大きな影響を与えていることに気付きました。そこで彼女は周りの人たちと繋がりを強く感じている人とそうでない人たちを大きく分ける要因を探っていきました。

彼女が気づいたのは、繋がりを強く感じている人たちは自分が愛されるに値すると信じている点でした。

では愛されるに値すると信じている人たちは具体的にどのような共通点を持っていたのか。

彼らは共通して勇気を持っていました。

具体的には、不完全であってもいいと思える勇気を持っていたのが見えてきました。

他者への思いやりも持っていますが、まずは自分に対する思いやりを持っていました。

理想的なあるべき自分の姿を手放し、あるがままの自分を受け入れる勇気がそこにはありました。

あるべき理想の姿ではなく、あるがままの今の自分を受け入れるには自分の弱さも含めて受け入れることになります。

自分の弱さも自分の大事な一部であること、それがあるからこその自分であることを全て受け入れていました。

自分や他者に思いやりを持ち寄り沿う力を「コンパッション」といい、別ブログで紹介しています。よければお読みください。

ただ、ブラウン氏も話しているように弱さを見せるというのはとても難しいことであり、また急に誰しも構わず周りの人たちに自分の弱さを見せるというわけではありません。

弱さを見せる勇気ある行動を重ねることで信頼性を徐々に築くこと、これを行うことによってより関係性を深めたり、自分の成長を実現することが可能になってきます。

4. 「ジョハリの窓」から見る、自分の弱さを見せることと成長の関係

怖いなと思いながらも、早速「弱さを見せる勇気」を試してみたいという方もいるかと思います。ただ、どこから始めればいいのか。

弱さを見せる勇気の中で、大事なスタート地点は自分を知ることではないでしょうか。

自己理解に関してより深く知りたい方は下記のブログをご覧ください。

今回のブログでは「ジョハリの窓」というツールを活用しながら自己理解と弱さを見せる勇気を持って自分の成長をも実現する方法をご紹介します。

自己理解を深めるには自分自身をどれだけ知っているのか、自分が知らない自分をどうやって知ることができるのか、またそれらを他者とどのように共有できるのかが重要になってきます。

ジョハリの窓:

上記のジョハリの窓では自分が知っている自分、知らない自分と他者が知っている自分と他者が知らない自分によって4つのセクションが存在します。

自分が関わっている人やコミュニティによってどこまで公開の窓を広げているかが異なると思います。同僚の前の自分、家族の前の自分、友人の前の自分では異なる部分もあるかもしれません。

自分が知っていて、他者が知っている自分の「公開の窓」を広げていくことが勇気ある弱さを見せることに繋がってきます。秘密の窓を埋めていく形で公開の窓を広げるには、他者への自己開示が必要です。

弱い部分も含めた、あるがままの自分を見せることで周りにあなたらしさがより伝わります。あなたらしさが伝わること、信頼しているからこそ開示していることをあなたが自らの言動で周りに示すことで周りの人たちからも信頼を得ることができます。

「弱さを見せる」というのは具体的にどのような行動なのでしょうか。

急に自分の中での人生最大のトラウマを開示していきましょうという話ではありません。上記にも記載した通り、小さなステップから徐々に始めることをお勧めします。

例えば、自分が困っている状況なのに「大丈夫」と周りに強がってしまったり、不安を抱えているのを全く見せないように頑張ってしまったりしたことはないでしょうか。

実は自分が苦手としていること、自分が抱えている感情や過去の出来事、感謝していること等を伝えて自分の弱さを含めて自己開示をしてみてはいかがでしょうか。

「表情には出ていないかもしれないですが、実は結構テンパっています。」

「以前大失敗してしまったことがあって、こういう会議はいつも緊張してしまうんです」

「困っていたので、いつも温かく見守ってもらえてとても感謝しています!」

こういった小さな一言から弱さを含めた自己開示に挑戦してみてください。

また青色の盲点の窓を埋めながら、公開の窓を広げていくのも自らの成長においてはとても重要です。

自分の言動に対して同僚や仲間や上司などからフィードバックを求めるのは勇気がいる行動ではないでしょうか。

ただ、自分の弱さも自分の一部として受け入れるためにはその情報を知ることが必要になります。

弱さを見せる勇気を持って周りの人たちにもフィードバックをもらってみてはいかがでしょうか。

フィードバックに関して詳しく知りたい方は下記のブログをご覧ください。

5. まとめ:弱さを見せる勇気に果敢に挑む

今回のブログでは弱さを見せる勇気に関して紐解いていきました。

弱さを見せる勇気を持つことでより自分らしく、自分を受け止めること、また周りともより良い関係を築くことができます。

両足を地につけた状態はとても安定していますが、前に進むことができません。

前に一歩進むためには片足をあげて非常に不安定な状態に一瞬ならなければいけません。

弱さを見せる勇気というのは、一旦不安定な状態になるのを覚悟しながらも前進するためにも必要なプロセスなのかもしれません。

難しいステップに感じる方も多いかと思いますが、小さな行動から重ねてぜひ皆さんにも試していただければ嬉しいです。

◆参考リソース:

・ブレネー・ブラウン氏 TED TALK 「傷つく心の力」

https://www.ted.com/talks/brene_brown_the_power_of_vulnerability?language=ja