SDGsについて、聞いたことのある人は多いかもしれません。
また今年(2020年)はSDGs達成を期限としている2030年のちょうど10年前です。2015年に国連で採択されてから、3分の1である5年が経過し、今年からはSDGs達成のための「Decade of Action(行動の10年)」と言われています。

今回のブログでは、行動の10年でますます注目されているSDGsについてわかりやすく説明します。また説明だけでなくSDGsを達成することがどんな意味・影響があるのか、日本がすでに達成している目標と私たちができることについても紹介します。

もくじ
1: SDGsとは?
 1-1: SDGsの3つの目的と17の目標:貧困のない世界・地球保護・平和と豊かさの享受
 1-2: SDGsの達成:どんな意味・影響があるのか?
 1-3: SDGs達成の影響:気候変化・地球温暖化の例
2: 日本が「行動の10年」で注力すべき目標:ジェンダー平等・環境対策・パートナーシップ
 2-1: 日本のSDGsに関する取り組み:アクションプラン
 2-2: 日本で注力すべきSDGs目標と、私たちにできること
3: 日本がすでにSDGsで達成している目標:教育・産業基盤・平和と公正
 3-1:目標4:質の高い教育をみんなに
 3-2:学校に通えない子ども・初等教育の修了率・PC所有率
 3-3:訓練を受けた教師の存在
 3-4:新型コロナウイルスによる教育への影響
4: おわりに:マララ・ユスフザイさんからのメッセージ


1.SDGsとは?

SDGsは Sustainable Development Goals(エスディージーズ:持続可能な開発目標)の略称で、2015年9月の国連サミットで採択されました。この採択により、当時国連に加盟していた193か国が、2030年までの15年間、このSDGsの達成に向けて行動することが求められるようになりました。

SDGsは17の目標169のターゲット、さらにその下の232の指標からなります。232の指標を定期的にモニタリング・測定することによって目標達成を促し、いま正しい選択をすることで、将来の世代の暮らしを持続可能な形で改善することを目指しています。

1-1:SDGsの3つの目的と17の目標:貧困のない世界・地球保護・平和と豊かさの享受

SDGsは大きく3つの目的、

1. 貧困に終止符を打ち、
2. 地球を保護し、
3. すべての人が平和と豊かさを享受できるようにすること

を目指すものです。この3つの目的を達成すべく、17の目標が掲げられています。

3つの大きな目的にもとづき、下記に17の目標を分類してみます。17の目標はそれぞれ相互に関わりが深く、どの分類にも当てはまると考えられるものもありますので、自分なりの分類を考えて、行動指針としてみることなども良いかも知れません。

■ 貧困のない世界 ■ 地球保護 ■ 皆で平和と豊かさを享受する
1.貧困をなくそう
2.飢餓をゼロに
3.すべての人に健康と福祉を
6.安全な水とトイレを世界中に
10.人や国の不平等をなくそう
7.エネルギーをみんなにそしてクリーンに
11.住み続けられるまちづくりを
12.つくる責任 つかう責任
13.気候変動に具体的な対策を
14.海の豊かさを守ろう
15.陸の豊かさも守ろう
4.質の高い教育をみんなに
5.ジェンダー平等を実現しよう
8.働きがいも経済成長も
9.産業と技術革新の基盤をつくろう
16.平和と公正をすべての人に
17.パートナーシップで目標を達成しよう

1-2:SDGsの達成:どんな意味・影響があるのか?

SDGsを達成することにどんな意味や影響があるのかと気になる方もいるのではないでしょうか?まず地球保護のうち気候についての例を挙げます。

1-3:SDGs達成の影響:気候変化・地球温暖化の例

最近暑すぎる・寒すぎる・台風の被害が多くなったなど気候の変化を体感していることはありませんか?記録的な暑さや豪雨には地球温暖化が関係していると考えられており、2018年10月にIPCC(Intergovernmental Panel on Climate Change:気候変動に関する政府間パネル)は「1.5℃特別報告書」を発表し下記3点について報告しました。

1. 産業革命期(1760年代から1830年代)に比べ、約1℃(0.8℃~1.2℃)温暖化した
2. 近年にみられる度合いで続けば、2030年から2052年の間に気温上昇が1.5℃に達する可能性が高い
3. 現在までの人為的な温室効果ガス排出による地球温暖化は、数百年から数千年にわたって持続し、これに起因する海面上昇などの長期的変化(影響)も継続するとみられる

約1℃の気温上昇は、毎年のように異常気象による河川の氾濫や土砂災害などが多発していることの原因と見られています。またIPCCは海面上昇だけでなく酸性化、また、干ばつや洪水を引き起こす極端な気象変化を増加させると警鐘を鳴らしています。

世界の平均海面は1902~2015年に平均16cm上昇したと報告されています。うち2006~15年では年平均3.6mmの上昇で、1901~90年の年平均1.4mmの約2.5倍となっています。主な要因はグリーンランドや南極の氷の消失で、海面上昇により、南太平洋にあるキリバス共和国(平均海抜2m)やツバル(平均海抜2m)、インド洋にあるモルディブ(国土の約80%が平均海抜1.5m)などの島国が水没する恐れがあります。ツバルでは海面上昇や地盤沈下などによって、洪水や海水の浸水、塩害などがすでに発生しています。

IPCCは2019年9月の「海洋・雪氷圏特別報告書」で、「温暖化対策をせずに世界平均気温が産業革命前から最大4.8℃上昇する場合は、海面は2100年に1986~2005年に比べて平均84cm上昇する可能性がある。」と報告しました。海面が1m上昇すると、上記の国だけでなく、フロリダ州やバングラデシュ、マンハッタンの大半が浸水すると予測されています。日本では現在の砂浜が90%ほど失われてしまうといいます。

私たちや将来の世代が貧困をなくし平和と豊かさを享受するためにも、地球保護に向けても行動していく必要があることがわかります。

2:日本が「行動の10年」で注力すべき目標:ジェンダー平等・環境対策・パートナーシップ

日本でもSDGsの認知活動をはじめ、様々な活動・取り組みが行われてきました。日本が今後「行動の10年」で注力していきたい目標・取り組みの例などについて紹介します。

2-1:日本のSDGsに関する取り組み:アクションプラン

SDGsに関して、2019年に「SDGsアクションプラン2020」が日本政府から発表されました。SDGsアクションプラン2020の骨子は

1. SDGsと連携する「Society(ソサエティー)5.0」の推進
2. SDGsを原動力とした地方創生、強靭かつ環境にやさしい魅力的なまちづくり
3. SDGsの担い手として次世代・女性のエンパワーメント

となっており、経済・まちづくり・次世代&女性の活躍推進を掲げています。特にまちづくりに関しては、2020年7月17日に「SDGs未来都市」という33都市を選出しました。うち10都市に「自治体SDGsモデル事業」として予算をつけてまちづくりを推進しています。各都市が持続可能な都市を「経済」「環境」「社会」の3つの観点から定義し、まちづくりのための施策を工夫しています。

Society5.0については、入試で求められる力とも関連して書かれた記事がありますのでぜひご確認ください。

2-2:日本で注力すべきSDGs目標と、私たちにできること

先述した3点目の次世代&女性の活躍推進について、日本はこの5年間での達成度があまり高くありません。
世界経済フォーラム(World Economic Forum)により毎年発表される「ジェンダー・ギャップ指数(Gender Gap Index)2020」では、日本の総合順位は153か国中121位(前回は149か国中110位)でした。
ここでの順位は非常に興味深く、1位アイスランド・2位ノルウェー・3位フィンランド、5位ニカラグア、9位ルワンダ、10位ドイツ・15位フランス、53位米国、106位中国・108位韓国と発表されました。日本は特に政治・経済指標におけるジェンダー格差が大きいとされています。

2020年6月30日に公開されたSDGsの達成度・進捗状況に関する「持続可能な開発報告(Sustainable Development Report)2020」では、日本の全体におけるSDGs達成度は世界で17位でした。一方目標ごとの達成度についても言及されており、「重要課題が残っている目標」として下記の5つが挙げられました。

5. ジェンダー平等を実現しよう
13. 気候変動に具体的な対策を
14. 海の豊かさを守ろう
15. 陸の豊かさを守ろう
17. パートナーシップで目標を達成しよう

重要課題に入っている目標の中で、具体的に下記の数値改善への取り組みが求められていることが報告書に書かれています。

  • 女性国会議員の数
  • 再生可能エネルギーの割合
  • 二酸化炭素(CO2)の排出量
  • 水産資源の乱獲・崩壊
  • 輸入に伴う地上・淡水の生物多様性への脅威
  • 国民総所得(GNI)に含まれる政府開発援助(ODA)の割合

数値改善に応じて、私たちにできることの例としては下記があります。

  • 選挙に参加し、女性議員や女性推進を掲げている議員を選出する
  • 再生可能エネルギーである、太陽光・風力・水力・地熱・バイオマス発電等のエネルギーを利用する
  • 電力削減・水を活用するための工夫
    • 保温時や待機等で利用する電力を少なくする
    • シャワーの利用時間を短くする
    • 風呂の残り湯を洗濯に使う
  • 二酸化炭素排出量削減のための工夫
    • エアコンの設定温度を冷房は1℃高く、暖房は1℃低くする
    • 通勤や買い物の際にバスや鉄道、自転車を利用する:自動車の利用を控える
  • 水産資源・生物多様性の保護
    • 新鮮で美味しい地場ものの魚介類を選んで購入し、漁業者を支援する
    • 環境に配慮していると認証されたエコラベル商品を優先して購入する

身近でできることについて、大学で環境学を学びサステナビリティコーディネーターを務める船田美咲さんの事例がとても参考になります。ぜひリンク先のインタビューをご覧ください。

3: 日本がすでにSDGsで達成している目標:教育・産業基盤・平和と公正

先述の「持続可能な開発報告」2020では、日本ですでに「達成できている目標」として下記3つが挙げられています。

4. 質の高い教育をみんなに
9. 産業と技術革新の基盤をつくろう
16. 平和と公正をすべての人に

この3つは「行動の10年」で日本が特にリーダーシップを持ち、他の国々とパートナーシップを発揮して達成を進めていけるものです。

特にKatsuiku Academyが関わる教育の課題と推進の例を、以下で紹介します。産業基盤については企業の取り組みを様々紹介している 経団連 | KeidanrenSDGs  、平和と公正については 外務省:Japan SDGs Action Platform がまとめている例 などを併せて確認していただければと思います。

3-1:目標4:質の高い教育をみんなに

この目標は日本では達成されていますが、今のペースでは世界全体で2030年までに目標を達成する可能性は低いと言われています。
教育の推進は、貧困をなくし平和と公正を享受することにつながります。以下にSDGsに関連した世界の教育課題やできることについて挙げます。

3-2:学校に通えない子ども・初等教育の修了率・PC所有率

新型コロナウイルス以前は、2030年時点で学校に通えない子どもが全世界で2億人以上、後期中等教育(日本の高校程度)を修了する子どもはおよそ60%と予測されていました。通学していない子どもの75%は、サブサハラ・アフリカと南アジア地域です。また教育機会に対する男女差について2018年のデータでは、女子の方が初等中等教育を受けられない場合について550万人の差があることがわかっています。

初等教育の修了率は、2000年は70%、2019年には約85%と15%上がっています。一方、中等教育に関しては特に低所得国が遅れをとっており、依然として推進が必要です。

また2019年のデータでは、ヨーロッパの家庭の78%がPCを所有しており、アフリカの家庭での所有率は11%でした。親や教師の持つPCやインターネットに対する技術・知識やノウハウの有無も、リモートラーニングの成果が左右される要因になります。

リモートラーニングに関連して、世界のオンライン講座(MOOCs)について下記リンク先の記事でオススメなどを紹介しています。ぜひ確認ください。

3-3:訓練を受けた教師の存在

また目標4を達成するには、十分な訓練を受けた教師の存在が不可欠とされています。必要な訓練を受けた教師が初等教育にいる比率は、世界では85%、サブサハラ・アフリカでは64%にとどまっています。

日本では、中等教育まで平等に教育が受けられ、教員研修の制度・システムが確立しています。またギガスクール構想等によって教育のICT化も急ピッチで進んでいます。ここでのノウハウやリユースできる機器を、世界各地で活用していくことも考えられると思います。

教育のICT化に関連がある「個別化教育」については、下記のブログで詳しく書いています。ぜひ読んでみてください。

3-4:新型コロナウイルスによる教育への影響

新型コロナウイルスによる学校の閉鎖は、社会的に不利な立場にいる子どもたちの健康や安全面のリスクも高める懸念が大きくなっています。経済的な困窮によって学校に通えない子どもが出てきたり、学校閉鎖が教育の成果や卒業率をさらに悪化させたりする影響が挙げられています。またそれらが重なることで、家庭内暴力・児童労働・子どもの強制結婚・子どもの妊娠などが増えていることも報告されています。

学校を再開する際にも、校舎に手洗い設備がなければウイルス感染のリスクが高く、生徒も教師も安心して学校に戻ることができません。基本的な公衆衛生設備が整っている初等教育機関は世界では65%で、サブサハラ・アフリカでは38%しかありません。他にも電気・安全な飲水・PC・インターネットアクセスなど、必要な設備や機能の整っていない学校が多いとされています。

また、政府の税収が新型コロナウイルスによって減少することで、教育関連の支出が抑えられてしまうことも懸念されています。日本は先述したようにSDGsにおける教育の目標を達成してはいますが、初等教育から高等教育に対する公的支出総額の比率が2017年時点で7.8%と低く、質の高い教育は家庭からの支出によって支えられており、課題とされています。これ以上公的な教育関連支出が抑制されないように、提言や政党・議員マニフェスト等を確認していくことも大切です。

4: おわりに:マララ・ユスフザイさんからのメッセージ

ここまでみてきたように、SDGsは多岐にわたる目標を掲げ、それを世界の皆で進めていくものです。まずSDGsについて知り、それを周りの人と共有することも、SDGs達成にとって大事なこととされています。ノーベル平和賞を受賞したマララ・ユスフザイさんが「私たち人間が、現在の問題を引き起こしました。皆で力を出し合えば、私たちの手でこれらを解決することもできるのです」と呼びかける動画をリンク先で紹介します。

世界中に広めよう「持続可能な開発目標(SDGs)」(マララ・ ユスフザイさん)- World’s Largest Lesson

インド独立運動の父と呼ばれるマハトマ・ガンディー師は「Be the Change You wish to See in the World. あなたが見たい世の中の変化に、あなたがなりなさい」という言葉を残したとされています。皆さんが興味を持ち、取り組みたいと思った目標は何でしたか。またそのために何ができるのか、引き続き考え行動していきましょう。


◆参考リソース:

・SDGsロゴ使用のためのガイドライン(日本語訳) – UNIC 国際連合広報センター
https://www.unic.or.jp/files/SDG_Guidelines_AUG_2019_Final_ja.pdf

・持続可能な開発目標(SDGs)とは – UNIC 国際連合広報センター
https://www.unic.or.jp/activities/economic_social_development/sustainable_development/2030agenda/

・気候変動の科学的知見 – 環境省
  … 気候変動に関する政府間パネル(IPCC)による報告書の日本語訳
http://www.env.go.jp/earth/ondanka/knowledge.html

・持続可能な開発目標(SDGs)推進本部 – 首相官邸
  … 「SDGsアクションプラン2020」など、日本が推進している政策等の資料
https://www.kantei.go.jp/jp/singi/sdgs/

・2020年度SDGs未来都市及び自治体SDGsモデル事業の選定について – 内閣府地方創生推進室
https://www.kantei.go.jp/jp/singi/tiiki/kankyo/teian/sdgs_2020sentei.html

・「共同参画」2020年3・4月号 – 内閣府 男女共同参画局
  … 「ジェンダー・ギャップ指数2020」の発表
https://www.gender.go.jp/public/kyodosankaku/2019/202003/202003_07.html

・持続可能な開発目標報告2020 概要 – UNIC 国際連合広報センター
  … Covid-19/新型コロナウイルスがSDGs達成に与えた影響なども含めたレポート
https://www.unic.or.jp/activities/economic_social_development/sustainable_development/2030agenda/sdgs_report/