「幸福になるためには何が大事なのだろうか?」
「どう過ごすことが、「幸福な人生」のために必要なのだろうか?」
こんな疑問を持ったことはありませんか。

今回の記事では、「幸福・幸せ」にフォーカスし、幸福に影響を与える時間の使い方と、幸せを感じやすい子どもを育てるヒントについてご紹介します。

ー目次ー
人生の幸福とは?:幸福の意味・幸福のために重要なもの
The Algebra of Happiness:幸せの方程式
「幸せな子ども」を育てるための時間の使い方
おわりに

人生の幸福とは?:幸福の意味・幸福のために重要なもの

そもそも幸福はかなり主観的な言葉であり、同じことを体験しても人によって感じる幸福感などは違う「無定義概念」と言われます。一方で、幸福に影響を与えるものや幸福につながる時間の過ごし方について、近年、特に研究が進んでいます。

経済的な裕福さが幸福に影響を与える限界

プリンストン大学名誉教授でノーベル経済学賞受賞者のダニエル・カーネマン氏によると、年収7万5000ドル(約800万円)が経済的に裕福なことで得られる幸福度のピークであるといいます。それ以降の収入と幸福度の相関は低くなるという研究結果でした。また、カーネマン氏は、「すべての人が同じ収入であったとしても、人生の満足度の格差は5%も縮まらない」と述べています。

どんなことに幸福を感じるか:体験による幸福 と 記憶による幸福

UCLA(カリフォルニア大学ロサンゼルス校)のキャシー・モギルナー・ホームズ准教授は、
「人生で幸せを体験すること(=体験による幸福)」 か 「人生を振り返って幸せを感じること(=記憶による幸福)」のどちらが、より自分に幸福を与えるか
ということについて、数千人を対象とする研究を行いました。

ホームズ准教授によると「体験による幸福」は「ひとときの幸福」ともいえ、その瞬間が幸せと感じられる行動を取ること。「記憶による幸福」は後で振り返って幸せを感じることができるよう、いまこの瞬間の幸せを手放して働くなどの行動を取ること。
例としてはオフィスワーカーの1週間で、平日ストレスの多い仕事をすること(=「記憶による幸福」を求める行動)、休日にやりたいことや趣味を実践すること(=「体験による幸福」を求める行動)、です。

研究の結果、幸福について個人が考えるとき、出身や条件に影響されやすいこと、日本人も含めたアジア人は特に「記憶よりも体験による幸福を選びやすい」という結論を導きました。

時間の使い方・他人を助ける行動が大きく幸福に影響を与えている

ホームズ准教授はこう話しています。

「私達は忙しすぎて、幸福を感じる機会を自ら拒否してしまっていないか。体験によって得られる幸福を望むのなら、なぜそれを得ることを避けてしまうのかについて考え直した方がいい」
“We’re all too busy, and we’re driven to turn down opportunities to constantly feel happy. But if you believe you want a life of happiness experienced in the moment, think twice before preventing yourself from achieving it.”

つまり、体験によって幸福を得る行動により時間を割くように、というアドバイスです。

またカナダ・ブリティッシュコロンビア大学の心理学者エリザベス・ダン准教授によれば、人を助ける行動によっても幸福度は増す、加えて人間は他の人を助けることに喜びを感じるよう進化してきたとのこと。たとえば寄付などの行為で、寄付そのものによっても幸福度は増すが、その寄付がどのように人を助けているのか・寄付対象と自分とのつながりを深く理解したり体験したりすることで、より幸福感が得られるそうです。

 

The Algebra of Happiness:幸せの方程式

次に紹介するのは、ニューヨーク大学スターン経営大学院教授 スコット・ギャロウェイ氏による「The Algebra of Happiness(幸せの方程式)」についてです。9つの会社の連続起業家でもあるギャロウェイ氏は、自分の人生における学びを、数式にして生徒たちに投げかけます。そのうちの3つを、ここで紹介します。

若いときの努力>老いてからの努力:幸せに努力は必要?必要なら若いうちに!

ギャロウェイ氏は、大学卒業後の5年間で精一杯の努力をすることが、キャリア・昇進の速さに直結すると言います。彼自身が20代・30代でバランスを欠く生活をし仕事に打ち込んでいたからこそ、まわりの人より短い時間でできるだけ先に進み、40代の今、ある程度バランスの取れた生活をしているとのこと。
先程の幸せのための行動を取ることと逆説になりますが、大学卒業直後の5年間は、個人的な楽しみの我慢や多少の不摂生をしてでも努力して仕事に邁進すべき、またその短時間でできるだけ進むためには、戦略の立て方と根気強さが重要というのがギャロウェイ氏の持論です。

また私たちはいつでも「今」が一番若いです。今から、今日から努力することも、もちろん選択してよい行動です!

仕事 × 家族² × 友人=幸福:パートナー・家族が幸せを増幅させる

さきのカーネマン氏の意見で「同じ収入であったとしても、人生の満足度の格差は5%も縮まらない」というものがありました。
では満足・幸福を増幅させる要因は何なのでしょうか。ギャロウェイ氏は「 W × P² × F = Happiness 」という数式を示します。Wは仕事(Work)、Pはパートナー・家族(Partner)、最後のFは友人(Friends)です。この3つの掛け合わせが、幸せを決めるのだと。
また数式の上でパートナー・家族には2乗がついています。たとえ仕事でストレスがあったり給与が低い悩みがあったりしても、良いパートナー・家族に囲まれつながっていれば、倍以上幸福度の高さに貢献するのだと、ギャロウェイ氏は主張します。

複利の効果:ワン・セカンド・エブリデイ

この段落の最後に紹介するのは数式ではなく、1日の積み重ねの効用についてです。ギャロウェイ氏は「1 Second Everyday」というアプリで1日1秒写真を撮り、息子たちと1年の終わりにそれをまとめた6分の動画を共有し、繰り返しそれを見ていると語ります。
そのことによって、どこにいたかや、経験したことの楽しさを思い出していること。そしてこの積み重ねた1日1秒が、1年の終わり、そしてその後も大きな幸福を与えていること。またギャロウェイ氏は、旧友にまめに連絡を取ったり、同僚を素直にほめたり、そういった小さな積み重ねがのちに大きな関係を作ることになるとも述べています。

 

「幸せな子ども」を育てるための時間の使い方

「Raising Happiness: 10 Simple Steps for More Joyful Kids and Happier Parents」著者、カリフォルニア大学バークレー校 Greater Good Science Centerで研究員を務めるクリスティン・カーター博士による2つのTipsについて、最後に紹介します。

親子でできるマインドフルネスのやり方

マインドフルネスの効用については、このブログでもいくつかお伝えしているとおりです。カーター博士も、マインドフルネスを実践することによって困難から学び、悲しみや落ち込みから回復し、より人生に満足するようになる、と説いています。それはマインドフルネスによって、つながりやサポートについてより強く感じることができ、自分の望みや目的と現在やっていることなどについて深く理解することができるためだと言っています。加えてカーター博士は、人生に対してどのように取り組むかについて変化が現れるという研究結果も共有しています。

博士が勧めるマインドフルネスの実施方法について以下簡単に紹介します。詳しく知りたい方は、 こちらのブログ (英語) をご覧ください。

親子でできる7分間マインドフルネス

目を閉じて楽な姿勢で座りましょう。ゆったりとした気持ちの中で人生で何を望むか想像します。その望みや希望を、3つか4つのフレーズにして思い浮かべます。

フレーズの例:
・私は幸せです
・私は健康でエネルギーにあふれています
・私はゆったりした感情に包まれています

これで準備完了です。そこから5つのステップを実践していきます。

1. そのフレーズを1つずつ、自分に向かって力強く心のなかで唱えます。

2. 誰かあなたが感謝をしている人やあなたをサポートしてくれている人を想いながら、そのフレーズの主語を「あなた」に変え、力強く心のなかで唱えます。
   例:「あなたは幸せです。あなたは健康でエネルギーにあふれています。あなたはゆったりした感情に包まれています。」

3. あなたが何とも思わない人、好きでも嫌いでもない人を想いながら、何かその人にとって良いことが起こるような願いを唱えてみましょう。これはもしかしたら時間がかかり大変かもしれません。でもこのことは、私たちが日々の暮らしの中で容易に好き嫌いや善悪の判断をしてしまっていることを気づかせてくれるものなのです。
  例:「◯◯に今日なにか素敵なことがありますように」

4. 次は、本当に嫌いな人や、一緒にいてキツイなと思う人を思い浮かべます。家で邪魔をしてくる誰かでしょうか、あなたの仕事をよく評価してくれない人でしょうか。私たちをみじめな気持ちにさせるその人に、愛や優しい気持ちを送ってみましょう。愛を送ることで、私たちはふと励まされる気持ちにもなったりするのです。
   例:「◯◯が幸せになりますように」


5. 最後に、あなたの周り・すべての人に向かってこう言って終えましょう。「皆が幸福でありますように」

 

長期休みを充実させる:ストレスなく楽しい過ごし方のための3つのアドバイス

カーター博士は「ストレスを軽減し楽しく休暇を過ごすための3つのステップ:3 Steps to a Low-Stress, High Joy Holiday Season」という動画で、長期休暇にすべき3つの効果的な行動のアドバイスをしています。

1. 大切な人に会いに行こう・つながろう

長期休みにしか会えないような、遠くに住んでいる大切な家族親戚・友人に会いに行く。また連絡を取る。この経験が視野を広げ、新たな感覚を養うことにつながる。またもちろんこういったことが幸福感を高めることの1つにほかならない、家族の関係にフォーカスするとお互いに幸福感が増すと、カーター博士は伝えています。

2. スマホを使う時間、やるべきこと、何もしない時間(ダウンタイム)のスケジュールを立てよう

住所録の更新、暑中お見舞・年賀状などの季節の挨拶を送るなどの普段できないことをリストアップし、スマホ・SNSに触る時間とともにカレンダーなどでスケジュールを立てることを勧めています。
また本当に何もしない時間(ダウンタイム)を作ることで、時間にメリハリがつき、より充実した時間を過ごせるとのこと。そしてダウンタイムを作るためには、自分が本当にすべきことは何かをよく考える必要も出てくると言います。

3. 当たり前に感謝しよう

長い休みだからこそ、普段当たり前だと感じていることを、本当に当たり前のことなのだろうか、感謝すべきことではないか、と考えてみることをぜひしてほしい、とカーター博士は力説します。たとえば自分のいる環境がもし違う場所だったら、大切にしているものがなかったら、、そういったことを想定してみることが、失望や不満を軽減する対処ともなるとのこと。

 

おわりに

幸福度を上げるためにできる行動が、より人生を豊かにしてくれるようなイメージを持つことができたのではないでしょうか。これから始まる夏休みや、子どもと一緒のお家での時間、そして自分自身の人生を充実させるために、時間の使い方や行動に工夫を続けていきたいですね。



◆ 参考リソース:

・エリザベス・ダン「人を助けることで幸せになれるーでもそのやり方が重要」 : 人を助ける行動によっても幸福度が増すと主張するダン准教授のTed Talk(日本語字幕あり)

https://www.ted.com/talks/elizabeth_dunn_helping_others_makes_us_happier_but_it_matters_how_we_do_it?language=ja 

・The Algebra of Happiness: いくつかの数式で人生の幸福について解説するギャロウェイ教授の動画 (英語) https://www.youtube.com/watch?v=qMW6xgPgY4s

・1 Second Everyday: Video Diary:1枚1秒毎日写真を撮ることで、合計365枚の写真で6分程度の振り返り動画を作成してくれるアプリ

 iPhone https://apps.apple.com/jp/app/1-second-everyday-video-diary/id587823548

 Android https://play.google.com/store/apps/details?id=co.onese.android&hl=ja

・Christine Carter.com : 幸せな子どもを育てる研究について発信するカーター博士のホームページ(英語) https://www.christinecarter.com/