シリーズ「休校中の学びを考える」〜第4弾〜
ー目次ー
① 休校を学びにつなげるリフレクション
② 「リフレクション」とは
③ リフレクションのやり方と質問項目
④ 事例紹介 その1:母と小3の娘の場合
⑤ 事例紹介 その2:父と小6の息子の場合
⑥ 事例紹介 その3:父と中3の娘の場合
⑦ まとめ
さっそくリフレクションを始めたい方はこちら:
休校を学びにつなげるリフレクション
新型コロナウィルスによる休校は、これまでにない特殊な状況でした。少しずつ再開の兆しも出ていますが、再開後も以前とまったく同じというわけにはおそらくいきません。
このように環境が激しく変化したときは、内面にも必ず何らかの影響が起きています。
ブログシリーズ「休校中の学びを考える」〜第4弾〜のテーマは、親子で取り組む「休校中の振り返り」です。
「振り返り」は「リフレクション」とも呼ばれ、 Katsuiku Academyでも各種カリキュラムの中に必ず入れている活動です。
また子どもだけでなく大人向けの研修プログラムや、 Katsuikuメンバー同士でも頻繁にリフレクションを行っています。
リフレクションを行うことで、内面の理解を促し、お互いの成長を助け合うことができます。
今回は、休校期間中のリフレクションの方法について、事例付きで紹介していきます。
ぜひこの記事を参考に、親子や家族、同僚、友人・先生ー生徒などで振り返りを行い、お互いの理解と自分自身への理解を深める機会を持ってみてはいかがでしょうか。

「リフレクション」とは
振り返りは英語でリフレクション(reflection)と呼ばれており、自らの言動や傾向を客観的に捉えて、次に向けた改善点の洗い出しを行い、その改善点を実行することを示します。
体験型学習の専門家 Linda H. Lewis と Carol J. Williams は、「最も大切な学びは活動後の振り返りで起こる」と述べており、振り返りの重要性を指摘しています。
子ども達にとっても日々経験することを振り返ることは、学びを最大化する大きなチャンスです。
リフレクションに関しては様々な研究が行われていますが、たとえば以下のような効果があると言われています。
・学びと洞察自体が深まる
・学びを次への行動に落とし込められる
・人間関係が深まる
・「失敗」を前向きに捉えられる
リフレクションについて、より深く知りたい方はこちらの記事をご参照ください。

リフレクションのやり方と質問項目
今回、リフレクションを初めてされる方もいらっしゃると思います。
ご家庭で取り組みやすいよう、Katsuiku Academy オリジナルの質問を10個用意しました。以下の手順を参考にリフレクションをしてみてください。
1.はじめに:保護者の方へ
始める前に保護者の方向けに、振り返りの目的、流れ、コツをお伝えします。
①リフレクションの目的
今回の振り返りの目的は対話を通して更に親子間の理解を深めてもらうこと、そして新たな気付きを得ることです。
②リフレクションの流れ
Katsuiku Academy が用意した10の質問に親子双方が答えていきます。
好きな問いや答えやすい問いから始めてください。
③対話を促すコツ
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2.休校中の振り返りー10の質問ー
次の質問に親子間で早速答えてみましょう。最初から順番でなくても構いません。答えやすいところから、ワクワクする質問から始めても大丈夫です。大人の方も一緒に、「勉強」=「仕事」、「学校」=「会社」、「休校中」=「リモートワーク」などに読み替えてやってみてください。
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「休校中の振り返り」シートはこちらから PDF でダウンロードも可能です。印刷したり、他の方へシェアする際にご利用ください。
遠くに住むご家族・友人・同僚などと実施するのに活用できるオンラインでの振り返りカード(下記のスライド)はこちらから閲覧できます。
※ パソコンで使用する場合、好きな順番でカードを選んでめくれます。
※ スマホから使用する場合、右矢印ボタン( > )をクリックしてください。スライドが進み、質問が順番に表示されます。

親子の振り返り事例紹介
3組の親子に、実際にリフレクションを体験してもらい、率直な感想を伺いました。
「娘の周りのことを考慮した回答等から、大きな成長を感じることができました。また今回のワークの効果として、娘の気持ちの整理ができたことがあります。コロナ禍で起きた出来事から多くの学びが得られたことを感じました。娘がどんな言葉や出来事に影響を受けたかを知る機会ともなり、今回改めて振り返りができて良かったです。娘が素直な気持ちをシェアしてくれたことに心から感謝しました。」
・取り組んだ時間:40分(朝食後、学習する前の時間を活用)
・工夫した点:質問の中には答えやすいものも、答えづらいものもあるように感じました。答えづらそうだなと思ったものは、私自身から回答するようにしていました。また考えて答えてくれたことに感謝し、質問ごとに「ありがとう」と伝えながら進めました。すると次第に娘の方から回答してくれるようになりました。
・注意した点:40分という時間の中で頭をフル活用するので、疲れを感じたようです。10問一挙にやらず、2-3問ずつや、普段の会話で1つずつ聞くなどでも良いかと思います。

「普段このような振り返りをする機会があまりなかったので、実際にやってみてすごくよかったです。特に「感謝」というテーマで話し合ったことがなかったので、8番の質問を通してより深く息子のことを知ることができました。また、シェアしてくれことへのお礼も含めて、最後の振り返りでより一層対話が深まりました。」
・取り組んだ時間:60分
・工夫した点:カードをめくり順に答えていく「ゲーム形式」にしてみたところ、ただ単に質問するよりもゲーム性があり、共に楽しんで取り組むことができたのでおススメです。
・注意した点:1時間以上時間をかけるのは双方ともに疲れてしまう可能性があるので、時間をより短くしたり、定期的な振り返りのきっかけ作りにするのがよいと思います。

「普段中々二人でこのような深いトピックで会話をしたことがありませんでしたが、実際やってみると意外とこういうところに楽しさや大変さを感じているんだな、と初めて知ることもあり非常に興味深かったです。より娘のことを知ることができました。このような機会を持てたことが、ありがたいなと感じました。」
・取り組んだ時間:60分
・工夫した点:娘はこういった振り返りに慣れていないようでしたので、自分自身が素直に分からないこと、迷っていることなどを積極的に伝えるように工夫しました。
・注意した点:質問に対してその場ですぐには答えが出てこないケースもありました。その際は、答えられなくても大丈夫だと伝えること、またこれをきっかけに対話を増やすことが大切です。その場ですぐには答えられなくても、時間をおいて整理したら答えが出てくるケースもたくさんあります。
まとめ
このような状況だからこそ振り返りをして、お互いのことや自分自身のことを理解することは重要です。実際にやってみると、お子さんだけではなく保護者の方自身も今まで気付かなかった感情や想いを認識するよい機会となります。
今回は「休校中」をテーマに親子の振り返りのご提案をしましたが、リフレクションは様々なことに対して活用できるので、親子に限らず同僚や友人などとも、また教室やリモートなどでも、実践してみてはいかがでしょうか。
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