毎日元気にイキイキと過ごしたいけど疲れが溜まってしまっている。

週末も忙しくしてしまうため結局休めていないと感じている方も多いのではないでしょうか。

休日や休暇でリラックスしたり、好きなことに時間を使うことで日々のストレスを解消することも大切ですが、毎日イキイキと過ごすために回復する力を身につけることが重要です。

今回の記事では、私たちが日々に取り組んでいる睡眠についての研究を紐解きながらその重要性と今夜から取り組める睡眠の質を上げる具体的な方法を紹介します。

もくじ
1: 睡眠の重要性と睡眠不足が蔓延する現代社会
2: 睡眠と好成績:経営者とスポーツ選手が重視する睡眠
3: 睡眠の効果・役割
 3-1:身体の疲労回復
 3-2:判断力、注意力への影響
 3-3:免疫力の向上
 3-4:感情を安定させる:脳への影響
4: 睡眠の効果・役割
 4-1:同じ時間に起きる、寝る
 4-2:暗闇をつくる
 4-3:温度を下げる
 4-4:アルコールとカフェインを控える
 4-5:寝れない時はベッドから出る
5: まとめ:質の良い睡眠で日々のパフォーマンスを向上させる


1: 睡眠の重要性と睡眠不足が蔓延する現代社会

米国のカリフォルニア大学バークレー校の神経科学者で心理学者のウォーカー教授は、”Why We Sleep”(日本語訳:睡眠こそ最強の解決策である)の中で睡眠の重要性を紹介しています。

運動、食事、睡眠が健康において大切な3つの柱としていますが、運動と食事は睡眠の上で成り立っており、3つの中で最も大切であるとウォーカー教授は主張しています。

例えば、しっかりと眠れなかった1日と不健康な食事生活を過ごした1日、運動不足な1日を比べた時にもっと悪影響が大きいのはしっかりと眠れなかった1日です。

「睡眠負債」という言葉が日本でも2017年に新言・流行語対象に選ばれるほど、睡眠不足は個人の課題ではなく社会問題になっているのが伺えます。

2019年のOECDの調査(Gender Portal 2019)に掲載されている33ヵ国の1日の平均睡眠時間を見るとアメリカが8時間48分(528分)、中国が9時間2分(542分)と睡眠を確保している国に比べて日本は7時間22分(442分)と33ヵ国の中で最も低い数値になっています。

厚生労働省が行った2019年の国民健康・栄養調査報告書では、1日の平均睡眠時間を5時間未満と答えた方が7.7%、5時間以上6時間未満が30.2%、6時間以上7時間未満とが34.6%と7時間未満が全体の72.5%を占めておりOECDの調査結果よりも多くの方が睡眠時間を確保できていない可能性もあります。

2: 睡眠と好成績:経営者とスポーツ選手が重視する睡眠

「忙しくて4時間しか寝ていないよ」などと自慢をして学校や職場で話したことがある方やそのような話を聞いた経験がある方も多いのではないでしょうか。

忙しくなると睡眠が第一に削られる傾向があり、睡眠時間を削ってまで努力をしていることが美徳とされる文化が多くの先進国で見受けられてきました。

ただ、近年ではハイパフォーマンス(好成績)を出すために睡眠を重視する動きも見受けられます。

米アマゾンのCEO兼創業者のジェフ・ベゾス氏、Google会長のエリック・シュミット氏やマイクロソフトのCEOサティア・ナディラ氏も睡眠の重要性を取材等で公言しており、8時間以上の睡眠をとるように心掛けていることを公開しています。

ベゾス氏は「ウォール・ストリート・ジャーナル」の取材で「注意力が高まって、思考もはっきりする。8時間眠ると1日ずっと調子よく過ごせる」と話しています。

また常に高いパフォーマンスが求められるスポーツ選手の間でも睡眠を重視する流れがあります。

バスケット界のレブロン・ジェームズやテニスのロジェー・フェデラーは1日平均12時間の睡眠をとっており、世界最速のウサイン・ボルトやテニスのヴィーナス・ウィリアムスも1日平均10時間の睡眠を確保していることを話しています。

サッカーでも睡眠の質を上げるためにクリスティアーノ・ロナウドは睡眠コーチを雇っています。

睡眠とパフォーマンスに関する研究が広がりつつあり、ハイパフォーマンスが求められる人たちがその研究結果に基づいて習慣を見直しています。

例えば、バスケット選手の成績を分析したニューヨーク州立大学ストーニーブルック校の研究では、しっかりと睡眠をとっていない選手のパフォーマンスが下がることが公開されています。

この研究では、2009-10年シーズンから2015-16年シーズンまでの7年間の間でNBA選手112人を対象に行われました。試合前日の深夜にツイッターで投稿した場合の翌日の試合での成績に関する分析を行っています。

結果として前日の深夜に選手が投稿をしていた場合、その選手の試合でのパフォーマンスが低下し、チームも負けてしまうケースがあることが分かりました。

試合前日の午後11時から翌日の午前7時までの間にツイッターで投稿していた場合、試合では得点が平均1ポイント減り、フィールドゴールは同 1.7%減少していました。

高いパフォーマンスを維持するために重要な睡眠は具体的にどのような効果があるのか見てみましょう。

3: 睡眠の効果・役割

3-1:身体の疲労回復

まず皆さんが実感しやすいのが、日々の疲労回復ではないでしょうか。睡眠をとることで内分泌機能が向上し、体の構築や修復に必要な成長ホルモンの分泌を促したり、生体としての防御本能の増強にも関わっています。

昔から「寝る子は育つ」と言われるように、子どもの場合は成長ホルモンは発育を促す効果があり、大人の場合は損傷した細胞の修復に活用されます。

また日中は交感神経がより活発な状態であり、血糖値や脈が高まり、集中力や体の働きを活発にする傾向があります。睡眠中には交感神経ではなく、副交感神経が働き、日中に比べて血圧や脈はより落ち着いた状態になります。

落ち着いた状態を作ることで疲労の回復を促しています。

3-2:判断力、注意力への影響

睡眠を確保することで判断力や創造力にも影響があると言われています。

6時間睡眠を取っていれば十分取っていると感じる方もいるかもしれませんが、研究では、6時間の睡眠を10日間続けた人のパフォーマンスは24時間起き続けていた人と同じレベルのパフォーマンスまで低下していたことが確認されています。

別の研究では6時間の睡眠を取ったグループと8時間の睡眠を取ったグループを比べたところパフォーマンスの差以外にも6時間の睡眠を取ったグループは自分たちが寝不足になっているという認識が薄いこともみられました。

また睡眠と社員の行動を分析した研究では、睡眠不足の社員はメールの確認等の労力が低い作業を優先する傾向があり、個人としての成長や企業の業績にもつながるようなより難解な課題へ挑戦しにくいことが結果として出ています。

NASAでは1990年代に睡眠の重要性に気付き、昼寝文化を導入しました。短い睡眠(26分)でも注意力を50%向上し、タスクのパフォーマンスを34%上げていることが発表されています。

3-3:免疫力の向上

身体の疲労回復は上記にも記載しましたが、しっかりとした睡眠をとることで生活習慣病の予防にもつながるといわれています。

睡眠時間が6時間以下の人は肥満、糖尿病、心臓病を患う可能性が高まり、近年の研究ではうつ病や事故に遭う率も高くなると言及されています。

Sleep誌に掲載された研究では、5万人以上の女性を対象にした調査で睡眠時間が5時間以下の人たちは睡眠時間を8時間前後確保している人たちに比べて肺炎になるリスクが1.39倍高いことが発表されています。

また日本人男性を4419人を対象に自治医科大学が行った研究では、睡眠時間が6時間以下の人は7-8時間の人に比べて死亡率が2.4倍高くなると報告されています。

3-4:感情を安定させる:脳への影響

睡眠不足の時により感情的になってしまったり、普段は気にならないことに対しても過剰にイライラしてしまったことはありませんか?

カリフォルニア大学バークレー校のウォーカー教授が睡眠と脳の反応について研究を行ったところ、睡眠不足の状態では感情を適切に統制する脳の機能が落ちてしまうことが分かりました。その結果、睡眠不足の状態では日常的な出来事に対してもより反射的な行動を取りやすい状態を作っていることが考えられます。

普段なら気にならない一言にイラついてしまったり、短絡的なご褒美や報酬に流されてしまったりする傾向が強くなります。

自分自身の身体的な影響だけではなく、上記のような反射的な行動によって周りとの人間関係にも影響が出てしまいます。

4: 睡眠の質を上げる5つの方法

4-1:同じ時間に起きる、寝る

一つ目は正しい睡眠を習慣化することです。

具体的には平日でも週末であっても同じ時間に寝て、同じ時間に起きることを心掛けましょう。また寝る時間として90分単位で考えて、7.5時間以上の睡眠を心掛けてみてください。

習慣化させるためには、自分の睡眠をトラッキングすることも一つの方法です。スマホのアプリ(Sleep Meister)やスマートウォッチやフィットネストラッカーなども多数存在するのでそれらを試してみることで睡眠の時間や質をみることができます。

4-2:暗闇をつくる

高い質の睡眠をとるには睡眠に適した環境が必要です。

中でも暗闇を作ることがとても重要です。私たちの体は暗闇を感じることで、眠りにつきやすくなります。

少なくとも就寝の1時間前には電子機器を切ったり、触れないようにすることが重要です。

一つの目安としては暗闇の中で手を伸ばした際に拳が見えないぐらいの暗闇を確保できるのが理想的です。

4-3:温度を下げる

暗闇を作ることに加えて温度も睡眠の質を確保する上で重要な要素です。

ウォーカー教授は部屋を18.3℃前後にすることを勧めています。

暖かすぎるよりも少し寒く感じる部屋の方が一般的には眠りやすいと言われています。

眠りにつくには体の深部体温を下げることが必要であり、それを誘発しやすい環境を作ることが目的です。

深部体温が下がると眠くなってくるので、寝る前にお風呂に入り体温を一度上げた上で冷ますことで眠りやすい状態を作れるとも言われています。

4-4:アルコールとカフェインを控える

カフェインやアルコールは刺激物であり、質の高い睡眠を妨げてしまいます。

寝る直前にカフェインを飲むのは避けた方が良いと感じている方も多いと思いますが、皆さんが思っている以上にカフェインは体に残ってしまい、睡眠に影響しています。

カフェインの半減期は平均して5-7時間になります。そうすると単純計算だと午後の6時に飲んだコーヒーに含まれているカフェインの半分は夜中の12時でも体内に残っていることになります。

体内に残っているカフェインの量を考えるとコップ一杯分のコーヒーを夕食後に飲むのと寝る直前の夜中の12時にコップ半分のコーヒーを飲んでいるのと似ている状態になります。

カフェインやアルコールを飲んでもしっかりと眠れているという方もいると思いますが、研究によると深い眠りが妨げられていることが確認されており、質の低い眠りしか実現できていない状態になってしまいます。

4-5:寝れない時はベッドから出る

ベッドで横になり寝ようと頑張っても眠りにつけない日を経験したことはありませんか?

ウォーカー教授はそのような時は一度ベッドから出ることを推奨しています。

人間の脳は関連性を作る生き物のため、寝れない状態でベッドで過ごすことが多ければ多いほど、ベッドと睡眠の関連性が下がります。

なので、20分以上眠りに付けないのであれば一度ベッドから出て他のことを行うことを勧めています。

ただ、目を覚ましてしまう電子機器を扱うことや運動や食事をとるなどの行動ではなく、薄暗い部屋で本を読んだり、考え事をノートに書き込む、マインドフルネスなど眠りに繋がりそうな行動がオススメです。

5: まとめ:質の良い睡眠で日々のパフォーマンスを向上させる

忙しくなるとどうしても削られてしまう睡眠時間ですが、より高いパフォーマンスを実現したいのであれば睡眠を削る以外の方法を優先すべきかもしれません。

世界を変えている経営者やハイパフォーマンスを日々実践している世界のトップアスリートも取り入れている睡眠の方法をぜひ皆さんも実践してみてはいかがでしょうか。