
安田葵
米 Pitzer College 在学中(2021年7月現在)、コンピュータサイエンス専攻。東京都にある吉祥女子中学・高等学校卒業。高校在学中にフードロス問題に興味を持ち、3年生時には学生団体の立ち上げやスタートアップでのインターンに従事する。大学進学後はコンピュータサイエンスに興味を持ち、1年の夏には200人規模のオンラインイベントのテックオペレーションの統括を行う。現在は夏休みを利用しチャットボットを開発しつつ、大学の新規留学生のためのオリエンテーションを企画・運営している。
海外進学エッセイ指導・受講者インタビュー②~安田葵さん~
高校1年生の時に1年間海外留学をしたことをきっかけに、海外大学に進学を決意された安田葵さん。Katsuiku Academy のエッセイ指導を受講したことをきっかけに米国ピッツァー大学(Pitzer College) 合格を掴み取るまでをインタビューいたしました。
エッセイ指導を通して自分自身と向き合い、大学入学後も大きな力になっているとのことでした。どのようなエッセイ指導だったのか、今にどのように繋がっているのか、非常に参考となるインタビューですので、ぜひお読みください。
初めての海外留学ー広大な自然のキャンパスで学ぶー
ー高校1年生の時に1年間留学したと伺いました。そのきっかけについて教えてください
安田:私学の中高一貫校に通っていたのですが、中学3年生の時、農業や環境にとても興味があったんです。せっかくなら高校で、農業や環境について学んでみたいと思い、世界中の学校を調べました。
するとアメリカのカリフォルニア州にある「Midland School」に巡り合いました。ここの学校は、2860エーカー(東京ドーム約240個分)もの広大なキャンパスがあり、自然とつねに接することを重視している学校なんです。
環境保全への取り組みにも熱心だったり、学校が所有する有機栽培農場で学生達が野菜や果物を育ててて調理したり、家畜もいたりで、とても魅力的でした!
またこちらの学校は、4学年(日本でいうと中3から高3)で在校生合わせて100人しかおらず、全員が顔見知りというアットホームな環境も魅力的でした。
「ここに入りたい!」と思ってからの行動はとても早かったですね。

ー急な留学の決意にご両親はどのような反応だったのでしょうか
安田:最初父からは大反対されました。「留学は大学生になってからでいいのでは?」と言われましたね。
ただ、安田家には、「何かをやりたいときは3つ理由をあげ、親を納得させられたら、何をしてもいい!」というルールがありました。
そのため幼少期から常に人を納得させられる理由をまず最初に考える習慣が身についていました。
私は「今後の価値観を形成する上で15、16歳の多感な時期に色んな事に挑戦して、体感してみたい。早い時期に英語を身に着けたい、学びたいことを追求したい」と親を説得しました。
親は最後には「全て自分で入学手続きをするならばOK」と言ってくれました。
私の通っていた中高一貫校とMidland Schoolは提携していなかったため、アドミッションに自分で連絡して、1年だけの入学を許可していただきました。

ソーラーパネル建設を通して体感したサステナビリティ
ーMidland Schoolでの1年間はどうでしたか?
安田:人生の中でも最も楽しい最高の一年でした!日本の学校は進学校であったため、勉強と部活(バスケ)しかしていなかったのですが、Midland Schoolは何もかもが新しい体験で新鮮でした!
まず驚いたことは、先生の家に気軽に遊びにいけることです。先生たちはキャンパスを囲むように住んでいるので、どの先生の家に行ってもいいことになっているんです。
時には質問をするために伺った際に、そのまま先生の家でご飯を食べることもありました!先生とこんなに距離が近いのは初めてでした。
そして特に思い出に残っているのは、10年生(日本では高1)のファイナルプロジェクト「ソーラーパネル建設」です。先生の助けはあるのですが、学年20人だけで設計図をみて、穴を掘って、パネルを運んで、作るんです。期間は約1週間ぐらいでした。
このプロジェクトを通して、「やればできる!」と強く感じました。
やればできるのマインドセットに興味がある方はこちらの記事をご覧ください。
実際に学校で使われる30-40%の電力がソーラーからまかなわれているので、自分達が建てたものが、学校の電力になっていることにも感動しました。
以前からサステナビリティには興味があったのですが、ソーラーパネルを作るという経験を通して、より強くサステナビリティを実感することができました。
自身の性的指向への気付き
ーアメリカでの経験を通して大きな気付きはありましたか?
安田:アメリカの高校に通って初めて「LGBTQ+」の概念を知りました。
LGBTQ+とは、レズビアン(女性同性愛者)ゲイ(男性同性愛者)バイセクシュアル(両性愛者)トランスジェンダー(心と体の性が一致していない方)に加えて、自分の性がわからないという「クエスチョニング」と性的少数者を表す「クィア」のQを加えた、セクシュアルマイノリティ全般を表す言葉です。
私は日本にいた頃はLGBTQ+を知らず、恋愛の話になるとモヤモヤしたものの、それを表現する言葉を知りませんでした。ですがアメリカで初めてLGBTQ+を自認する友達ができて、「ああそういう選択肢もあるのか、自分は何だろう」と考えるようになりました。
そして自問自答を続けた結果高校3年生の時に、「パンセクシュアル (Pansexual)」という概念に出会い、それがすっと腑に落ちたんです。
パンセクシュアルとは「相手の性に関わらずどんな人でも愛することができる人で、全性愛」と訳されます。LGBTQ+の概念を知ってからも、どれにも該当しないなぁと感じていて、 パンセクシュアルの概念が一番しっくりきました。私の場合、「相手を好きになるのに性別は関係ない、好きになった人が好き!」という感覚が一番近いです。
今通っているピッツァー大学(Pitzer College) の最初の自己紹介でも、自分の代名詞を伝えていたのが衝撃でした。
例えば、「私を指すときは、She を使ってね」「Theyを使ってね」というように、それぞれの性自認に配慮した自己紹介をしているのが一般的です。
友達と普通に話している中で、その方のことを話すときは、自己紹介時の代名詞に気をつけて話しています。(相手の代名詞が分からないときは、名前を使ったり、間違ってしまったときは友達が誤りを指摘してくれたりします。)

ーピッツァー大学(Pitzer College)の話がでてきましたが、なぜそこに進学しようと決められたのですか
安田:高1の留学時からサステナビリティに興味をもってはいたのですが、日本に帰国してから高2の時にフードバンクのボランティアを始めて、フードロスの問題について知りました。
大学では環境問題について深く学びたいと思い、オランダ、デンマーク、カナダ、イギリス、日本等の大学について調べ、最終的にPitzer Collegeに決めました。
Pitzer Collegeは、環境学がしっかりと学べる事が有名であると同時に、人権問題についても関心がある学生と教授が集まっているんです。とてもリベラルな校風であることも惹かれた理由の1つです。
ただ今は、環境学も学んでいるのですが、コンピューターサイエンスの勉強が面白くてどはまりし、専攻になっています。
コンピューターサイエンスで培ったスキルを活かしてサステナビリティに応用できないかどうか模索中です。

サステナビリティに関してもっと詳しく知りたいかたはこちらの記事をご覧ください
エッセイ指導を通して表現力を身につける
ーアメリカの大学進学に向けて一番大変だったことは何ですか?
安田:エッセイです。エッセイは、とにかく自己分析が大切なのですが、今までそのような機会がなかったので、とても苦労しました。
たった650wordの中で、どれだけ自分のことを伝えられるかが勝負なんです。自分の力だけでは無理だと思い、Katsuikuのエッセイ指導を高校3年生の8月末から受講しました。
ーKatsuiku Academyのエッセイ指導はいかがでしたか?
安田:本当に素晴らしかったです。Katsuiku Academyのエッセイ指導は「大学受験のためのエッセイ指導ではない」んです。大学入学後も使えるようなエッセイのスキルを教えてくれました。

指導してくださった町田来稀さんは、絶対に正解を教えてくれませんでした。代わりに私が書いたエッセイに対して「なんでそう思ったの?」とどんどん深堀をしてくれるんです。
来稀さんに質問されるたびに、自分自身について深く考えるようになりました。1つの問いに対して3日以上考え込んでしまうこともありました。
自分が納得する一文を生み出すために、徹底的に深堀してサポートしてくれのが特徴的でした。
海外進学専用の塾などもあるのですが、そこでは「こう書いたらいい」というような感じで自分が書いたものを修正されるのです。
アメリカの大学に入学してからは、講義で毎回エッセイの提出があり、成績を決める上で重要な位置づけになっています。
「私はこう思う。」という自分の意見を表現する力や物事を分析する力を入学前のエッセイ指導で身に着けることができたのは非常に大きかったです。
エッセイに指導に関して気になる方はこちらをご確認ください。
ー海外進学を目指されている中高生の方向けて一言お願いします
安田:大学入学後は想像以上に楽しいです。
受験生活をハードに感じることが多いと思いますが、その経験は入学後スキルとして使えます。あまり受験のためだけと思わないで取り組んで欲しいと思います。
あとは勉強や部活以外にも、その時に一番興味があることを全力でやってください!その経験は後々必ず役に立ちます。
安田さんと同じく海外進学をされた矢島さんからも、海外進学準備などについて話を伺いました。
編集後記
未来は無限の可能性があります。どんなことにでも是非、果敢に挑戦してみてくださいね。
自分が興味があることをとことん追求し、果敢に挑戦されている安田葵さん。
アメリカでの留学経験を通して、自分自身と向き合い、楽しみながらサステナビリティとコンピューターサイエンスを学ばれている姿が印象的でした。
これからのご活躍、心から応援しています。インタビューありがとうございました。

Next Education Awardという教育者を表彰するアワードを設立しました。
第一回目となるアワードに関する詳細を知りたい方は下記をご覧ください。