シリーズ「休校中の学びを考える」〜第2弾〜

日野田直彦プロフィール

まとめー第2弾ー

①世界初の全日制普通科におけるフルオンライン授業の展開とサポートへの挑戦

②武蔵野大学中学校・高等学校でのスケジュールモデルの公開

③オンライン化は組織が一丸となって動くことが重要

④第3弾予告:ご自宅でもできる取り組みの紹介

新型コロナの感染拡大で、今までのライフスタイルががらりと変わる変革期をむかえています。会社や学校の在り方など既存の概念が変化していく中で、多くの方が不安や心配を抱えていることと思います。

Katsuiku Academyは、いち早く学校内でオンライン化を進められた武蔵野大学中学校・高等学校・日野田直彦校長にオンライン上で緊急インタビューをさせていただき、第1弾では、オンライン化への第一歩として誰も取り残さない対応について伺いました。第2弾では学校内での具体的な取り組みと詳細を皆さまにご紹介していきたいと思います。

武蔵野大学中学校・高等学校ではいち早くオンライン化を決めて動き出していましたが、いつ頃から準備を始めていたのでしょうか?

(日野田)新型コロナの感染が拡大する前からロックダウンを含め最悪の事態を想定して動きだしていました。2月には、学校が4月から休校になるというパターンを視野にいくつかのシナリオを考え始めました。

3月に入った頃には、休校にせざるを得ないことが濃厚となったため、その前提で関係各所、先生方と議論・調整を進め、4月1日に何とか告知できるような状態にまで持っていきました。

どのようなコンセプトやイメージを持ってオンライン化の設計を進められていたのでしょうか?

(日野田)私が最初に思い描き、実現したかったコンセプトは、「ロックダウンしても、スペースコロニー(宇宙空間に作られた人工の居住地のこと)でも対応できる、世界初の全日制普通科におけるフルオンライン授業の展開とサポート」です。

既存にない新しいことに挑戦して、生み出していく機会でしたので、本当に色々な方にアドバイスをいただいたり、サポートしていただき、なんとか4月時点で1つの形にすることができました。

どういった点が今回のオンライン化のポイントになるのでしょうか?

(日野田)ポイントは3つです。

「休校中の学びを考える」オンライン化のポイント日野田直彦

①ティーチングは外部企業と連携して行うオンライン授業

②質問受け(コーチング)は教員が個別オンライン対応

③4月から試行的に開始し、フィードバックを受けながら都度改善し、より良いものを開発していく

イメージしやすいように具体的に本校のスケジュール例を使って説明していきたいと思います。

武蔵野大学中学校・高等学校の1日(平日)スケジュール例(4月中)

時間 ツール 詳細
朝礼 Zoom 生徒の様子確認をクラス単位で行う
午前:1-4限で教科学習※5教科(英数国理社) スタディサプリ ・授業を受けているかどうかは、映像コンテンツの視聴記録の受講状況から判断・それぞれの時間に授業担当を配置しZoomで質問対応・オフィスアワー(質問タイム)を生徒ごとに設け、教員がローテーションで質問に回答
昼休み
午後:5-6限 準備中 5月下旬以降に、順次実技教科もスタート
終礼 Zoom 生徒の様子確認をクラス単位で行う
アフターフォロー ツール 詳細
先生と生徒・保護者間の連絡 Classi 連絡事項のやりとり
提出・共有 ロイロノート 宿題等の確認

オンライン化を進める上で大事な点、注意すべき点は何でしょうか?

(日野田)大事なことは、「学校として組織的に動くこと」だと思います。
散発的に先生方がバラバラにYouTubeに授業動画をアップしたとしても、「あの先生はやってくれているのに、あの先生はやってくれない」など、学校内での分裂を招き、混乱を招きかねません。

それよりも生徒と向き合う時間を確保する方が重要に思います。

 本校としては、ZOOM等のオンラインに慣れていない先生達が生の動画配信をするのではなく、一定程度精査された動画コンテンツを生徒たちが見た上で、先生方がオンライン家庭教師のような形でサポートし、モチベーションコントロールに専念する、という本来あるべき教育の「個別最適化」をめざして、チャレンジしていきます。

 ZOOMなどのオンラインの生授業を、正規の時間割と同じく6時間にすることは、オンライン独特の緊張感や集中力の維持の側面から難しい、ということが、先行して実施しているアメリカの大学の研究・論文からも分かってきています。

また、通信状況の関係から、リアルタイムで授業を配信したとしても、確実に生徒全員が見られるかどうか分かりませんでした。そのため、次の2点を対応として考えました。

①全ての生徒が確実に定期的に勉強を進められるよう、既存のアーカイブされたコンテンツを見て、それを自分なりに理解し、分からないところを質問できるようにする。

②積極的に自分から学びを深めるための質問を受けられるようにする。

 生徒からは、「いつもなら放課後に質問に行っても、先生方が忙しくなかなか捕まえられなかったが、今回のプロジェクトでその場で質問できるので、後回しになることが減った。」と感想をもらっています。

 大事なことは、「先生が頑張る」のではなく、「生徒たちが積極的に行動する」ことを促すための仕組みを創ることが、今回の状況で最も大切なことであり、今までの学校で足りなかったことだと感じています。

今後はどんなことにチャレンジしていく予定でしょうか?

(日野田)今後は「オンライン英会話」「PBL」のコンテンツも順次追加し、スピード感を保ちつつも慎重にチャレンジを続けていきます。また、スタンフォード大学などでオンライン授業を展開している方々からも研修をしてもらう予定になっています。

5月からは、実技教科の先生方による「YouTube」ないしは「ZOOM」を使った授業の実施に少しずつ挑戦していこうと思います。

(質問)最後に一言お願いします。

(日野田)今後の対応に困っていらっしゃる学校やご家庭は多いと思います。少しでも何かの力になれればと想い、本校で取り組んでいるノウハウや方法を、今後も全面的に公開するつもりです。

今一番大切なのは、情報を握りしめるのではなく、オープンソースにして全ての人に共有していくことだと思います。

一緒に新しい未来を切り拓いていきましょう!!

「休校中の学びを考える」日野田直彦

第3弾に続きます!第3弾では武蔵野大学中学校・高等学校の具体的な取り組みにヒントを得て、Katsuiku Academyからご自宅でどんな取り組みができるのかを提案させていただきます。ぜひ次回もご覧ください。

日野田直彦プロフィール

幼少期をタイで過ごし、帰国後、同志社国際中学・高校に入学。当時の日本の一般的な教育とは一線を画した教育を受ける。同志社大学卒業後、馬渕教室入社。2008年奈良学園登美ヶ丘中学・高校の立ち上げに携わる。2014年大阪府の公募等校長制度に応じ、大阪府立箕面高等学校の校長に着任。着任後、全国の公立学校で最年少(36歳)の校長として改革を推進。着任3年目には海外トップ大学への進学者を含め、顕著な結果を出す。2018年より武蔵野大学中学校・高等学校の校長に着任。2020年より武蔵野大学附属千代田高等学院の校長を兼任。著書『なぜ「偏差値50の公立高校」が世界のトップ大学から注目されるようになったのか! ?』(2018年、IBCパブリッシング)