長谷川 誠

私立 大阪夕陽丘学園高等学校教諭。 
兵庫県宝塚市出身。
Microsoft Innovative Educator Expert 
情報科教諭として教員キャリアをスタートさせるとともに教務部を担当。 29歳の時から教務部長を務め、学校全体のカリキュラム・マネジメントを推進するとともに、新しい学校の学びについてを探究。 2019年度より現在の学校に着任後、探究学習を担当。企業に企画提案する「企業インターンワーク」や、国連グローバル・コンパクトに加盟していることから「SDGs探究」など生徒がわくわくしながら学び、チャレンジしていけるようなプログラムを実践している。現在は探究学習担当の他に教務主任を務める。

ファシリテーションスキル研修参加者インタビュー②
~長谷川誠さん~

平成 31 年度の未来の教室の実施事業者に一般財団法人活育教育財団が採択され、実施された「ファシリテーションスキル研修」(2019年12月~2020年2月)には、全国から教育関係者48名の方が参加してくださいました。今回は大阪から参加してくださった長谷川先生に、ファシリテーションスキル研修を通して学んだことを語っていただきました。

【ファシリテーションスキル研修とは】

今後ますます多様化、ITの進化、グローバル化が進み、社会の急速な変化による新たなニーズや課題に応えられる人材を育成するための新たな教育を身に着ける研修です。 

具体的には自律性、協働性、多様性理解などのグローバルスキルをテーマとしたPBL型のワークショップをデザインする方法と、実施するノウハウを身に付けていきます。

研修を終えた後、参加者の皆様が学校の授業やワークショップの形を進化させ、グローバルな環境下で複雑な課題解決ができる変革型人材の輩出ができるようになることを目指しています。

詳細はこちらからご確認ください。

探究学習のためファシリテーションスキルの向上を目指す

ーファシリテーションスキル研修に参加しようと思ったきっかけについて教えてください。

長谷川:きっかけは自分が今の学校で「探究学習」の担当になったことでした。
近年、新学習指導要領において「探究」というワードが注目されていますが、実際に自分が担当になった時に、生徒と一緒にどのような学びの場を作っていけばよいのか想像できませんでした。

探究学習を行う上で自分にスキルや知識がないというのは自覚していたので、正直悩んでいたんです。また勤務年数が長くなってくる中で、もっと自分のスキルをアップデートしたいという想いが芽生え始めた時期でもありました。

今のままではいけない、もっとスキルアップをして今後日本社会で求められる教育を体現できるような教員になりたいと思いました。教員として生徒に対してよりよい還元ができるようになりかったんです。

【探究学習とは?】

探究学習とは、生徒自らが課題を設定し、解決に向けて情報を収集・整理・分析したり、周囲の人と意見交換・協働したりしながら進めていく学習活動のこと。探究学習では、生徒の思考力や判断力、表現力などの育成を目的としています。

ーよりよい還元とはどういったことでしょうか?

長谷川:教員として教科書に沿った授業を行うことは、最低限必要で大切なことなのですが、これは生徒に対して本当にいい還元になっているだろうか?とふと思う瞬間があるんです。それは特に生徒が楽しくなさそうな時に強く感じますね。

「どうしたら生徒達が楽しく、意欲的に学んでくれるだろうか?」と日々自問自答しています。ファシリテーションスキル研修では、生徒達がもっと楽しく学べるような教員としてのスキルも磨きたいと思っていました。

固定概念に気付き、リフレクションを通して学びを深める

ーファシリテーションスキル研修に参加してみて、大きな気づき・学びは何でしたか?

長谷川:様々なことを学ばせていただいたのですが、まずはいかに自分が「固定概念」に縛られているのかということに気付きました。それは最初のグループワークの時でした。

あるワークを各グループごとに取り組んでいたのですが、いつの間にか他のグループと競い合う感情が生まれていたんです。
そんな時に、Katasuiku Academyのファシリテーターである町田さんからの、「どんどん他のグループを見に行ってみて!! 動いて動いて!」という言葉にはっとさせられました。

「そうか、これは競争じゃないんだ。よりよいものを作り出すために、他の人の考えを参考にしたり、ヘルプを求めてもいいんだ!」

無意識に自他の区別をしていましたが、「協働してよりよいものをみんなで作りあげる」という意識に瞬時に切り替えることができました。

長谷川:あとは、リフレクションが大きな学びでしたね。今まで自分は日記を書いて一日を振り返ったりするタイプではありませんでした。しかしこの研修では自分のキャパシティを超えた学びが多かったので、研修が終わった直後は頭がパンクしていました。リフレクションのおかげでクールダウンでき、じっくりと学びを深めることができました。

研修が終わった後アンケートを記入することになっているのですが、すぐに書いて提出するのではなく、その時間をリフレクションにあてていました。その日一日、どんなことを学んで、どんな気付きがあったのか、3時間ぐらいかけて書いていましたね。

今までこんなにも時間をかけてリフレクションをしたことなどなかったのですが、リフレクションを通して学びを深めるだけではなく、今の自分に足りないスキルや知識が何なのかより鮮明になり、もっと成長していきたいという想いにも繋がっていきました。

教職員全員が仲間として学び合う環境づくり

ー研修参加後どのように職場等で学びが活かされていますか

長谷川:1回目の研修が終わったときに、即座に「自分にできることを1つずつやっていこう!」という思いに駆られました。自分がこの場で学んだことをより多くの教職員の方に伝えたかったんです。

「自分だけの学びで終わらせるのはだめだ、学んだことを広めていこう!」と決意しました。

そこで早速、教職員の方に声をかけて、勤務外で1時間半の勉強会を開催しました。ペースとしては、月1回、合計で4~5回開催しました。参加数としては、全教員90人中20人ほど参加してくれました。想定以上にたくさんの先生方にご参加いただき嬉しかったです。

勉強会では、グロースマインドセットの話や、ヒーローズジャー二ー、リフレクションの大切さをなどを実体験を交えて話していましたね。

「今まで知らなかった話が聞けた!すごく勉強になった。」「若い先生が頑張っているとこちらも頑張ろうと思えるよ!」などの温かいお声をたくさんいただけました。

他にもこういった勉強会の場で、先生達の困っていることをシェアするようになりました。

というのも、学校の中でこういった悩みや課題を共有する場って意外にないんです。あっても同じ教科の先生同士だけだったりするので、学年や教科を超えた「場づくり」を今年の課題にしています。

この研修に参加するきっかけとなった「探究学習」なのですが、研修を通して感じたこととして、「探究学習の先生だけがこれから必要とされる能力や教育を理解しているだけではだめだ」ということです。教育関係者全員で理解して実行していく必要性を強く感じました。

数人の理解ある先生だけが分かっていればいいということではないんです。学校の中で教職員全員が仲間として学び合う環境を作っていく必要があります。

理想としては、教科を超えて互いの授業を見に行きあい、よりよい授業のためにフィードバックをし合える環境を作れればと思っています。

僕は勉強会の中で何度も「是非今度僕の授業を見に来てください!」と伝えているのですが、まだ数人程度です。しかし少しずつですが、フィードバックをいただける機会が増えてきました。

ー今挑戦していること、またこれからどんなことに挑戦していきたいですか

長谷川:今年(2020年)4月に休校になり、オンラインで探究学習はほとんど何もできませんでした。分散登校が始まっても、クラスの半数の生徒にしか会えず、グループワークができない状況で非常に難しかったです。グループワークができないので、横や前後でのペアを作ってもらい、ペアワークをやってもらっていました。

しかしそのような中でも、チームワークに必要なスキルや信頼関係を構築する大切さを伝えたり、心理的安全性を作ることを心掛けていました。

このような環境下にあっても、研修で学んだことを現場で活かせるように挑戦を続けていきたいと思います。そして、自身が学びを楽しみ、積極的にチャレンジし、その姿勢を生徒に見せていきたいと思います。

まとめ

長谷川先生は、全5回の研修アンケートで最も長い時間をかけてリフレクションをしてくださった先生でした。1つの1つの振り返りから、学んだことを1つも無駄にすることなく現場で活かそうとされている様子が伝わってきました。自分にできることから少しずつ、自分がまずはその姿勢を見せる。長谷川先生、たくさんの気付きと学びをありがとうございました。