「場や人の空気を読みすぎてしまって疲れてしまう。」

「ドラマや映画で共感しすぎてしまって感情をコントロールするのが大変。」

「あの人がイライラしているのはひょっとして私のせいだろうか。」

など、情報を必要以上に読み取りすぎてしまい、どっと疲れてしまうという経験をしたことがある方は意外に多いのではないでしょうか?

このようなことを頻繁に感じており、生きづらさを感じているとしたらそれはあなたがHSP気質だからかもしれません。今回はHSPに焦点を当てていきたいと思います。

もくじ
1: HSPとは?
2: HSPの特徴について
3: HSPとの向き合い方
4: まとめ

1. HSPとは?

1-1.HSPとは?

HSPとは「Highly Sensitive Person(ハイリー・センシティブ・パーソン)」の略語です。

光・音・匂い、または対人関係において非常に敏感な性質を持つ人々の事で、アメリカの心理学者、エレイン・N・アーロン博士が1996年に出版した、『The Highly Sensitive Person』(邦題『ささいなことにもすぐに「動揺」してしまうあなたへ。』)のなかで提唱した概念で、最近日本でも注目を集めています。

日本ではHSPの傾向がある方は「敏感さん」「繊細な人」などの言葉で呼ばれることもあり、HSP専門カウンセラーの武田友紀氏の著書である「気がつきすぎて疲れる」が驚くほどなくなる 「繊細さん」の本は日本中で大きな話題になりました。

「まわりに機嫌の悪い人がいるだけで緊張する」「相手が気を悪くすると思うと断れない」「疲れやすく、ストレスが体調に出やすい」「細かいところまで気づいてしまい、仕事に時間がかかる」など人一倍敏感で繊細だった方達が自身がHSPだったという事を知り、腑に落ちた人が多かったようです。

HSPは環境や性格などの後天的なものではなく、「先天的な気質」「生まれ持った性質」であることがわかっています。つまり、性格によるものではないため、努力して改善すべき弱点ではないということです。

統計的には人口の15%〜20%、つまり5人に1人があてはまる『性質』であると言われています。

1-2.HSC(Highly Sensitive Child)とは?

近年HSPの子どもは「Highly Sensitive Child」HSCと略され、最近では書籍などでも取りあげられることが多くなってきました。HSCの特徴はHSPと違いはなく、生まれつき刺激などに敏感な性質があります。

そのため環境の変化や人が大勢いる場所を苦手とすることが多く、学校などの集団生活になかなか馴染めないことがあります。

HSCは生まれつきの性質なので、家庭環境や教育方針が原因ではありません。HSCという性質を理解した上で、その子の好む環境やペースに合わせて個性を伸ばしていくことをおススメします。

2. HSPの特徴について

HSPの提唱者であるエレイン・アーロン博士は、HSPには「DOES(ダズ)」という4つの特徴があるとしています。

DOESとは4つの特徴の頭文字を合わせたものです。

D:Depth of processing 物事を深く処理して慎重に行動する 

O:Overstimulation 刺激に対して敏感に反応してしまうため疲れやすい

E:Emotional reactivity and Empathy 高い共感性をもっており感情移入しやすい

S:Sensitivity to Subtleties あらゆる感覚が鋭く、音や光、においなどにも反応する

要するにHSPの方は情報を深く受け止めることができ、感受性や共感力が高い代わりに、刺激を過剰に受け取ってしまい疲れやすいといった傾向があります。

2-1 HSP診断チェックリスト

こちらのチェックリストは、多く当てはまるほどHSPの傾向があると言われます。

HSPに明確な診断基準はないので、ご自身の傾向を知るという程度でチェックしてみてください。

  • 周りの人に「敏感」「内気」と言われることが多い
  • 生活の急な変化に弱く、動揺してしまう
  • たくさんのタスクをこなさなければならなくなると、混乱してしまう
  • 大きな音や強い光、強い匂いが苦手、小さな音や匂いも気になってしまう
  • 些細なことでも、深く考えすぎてしまう
  • 芸術に触れると大きく心を動かされる
  • 忙しくなると、一人で静かに過ごせる刺激の少ない場所にこもりたくなる
  • 他人の気分に振り回されやすく、対人関係に疲れがち
  • 相手のペースに合わせて疲れることが多い
  • 映画やドラマの暴力的なシーンが苦手
  • 集団の空気を読んで合わせるような行動をする
  • 人ごみにいると心身共に消耗する
  • 他の人が怒られていても自分が怒られているように感じる
  • 素直な感情を出すのが苦手
  • ちょっとしたしぐさや表情から相手のしてほしいことがわかる
  • 物語に感情移入しやすい/涙もろい
  • 小さな変化にもすぐ気が付く

いかがでしたでしょうか?さらにHSPには、「外向型か内向型か」、「刺激を求めるか、求めないか」でさらに4つの種類に分類されると言われています。

図にまとめると下記の通りです。

2-2 HSEの特徴について

特に外向型のことをHSE「Highly Sensitive Extrovert(ハイリー・センシティブ・エクストロバート)」といい、日本では「外向型HSP」と言われることもあります。

感情が繊細で敏感ではあるが、人と触れ合うことが好きな外向的な一面を持っている人達のことを指します。HSEがHSPに占める割合は約30%程とされています。

HSEの特徴は下記の通りです。

● チームワークを必要とする作業が好き
● 人と会ったり話したりすることで元気になれる
● 独りになると不安になるため、家に閉じこもることを嫌う
● 自分の気持ちを誰かとシェアしたいと思っている

このように、HSEは社交性がとても高いですが、HSPと比べると外的刺激に触れる機会が多くなるため、精神的・身体的に疲れやすいといった特徴もあります。

また、刺激を求めるタイプを「HSS(High Sensation Seeking)」といい、「外向型か内向型か」、「刺激を求めるか、求めないか」の4種類のタイプについて解説いたします。

刺激を求めない内向型の繊細さん(非HSS型HSP)

このタイプは、一般的なHSPとされており、HSPの約70%が該当すると言われています。内向的で、敏感で繊細な気質をもつ方です。

刺激を求める内向型の繊細さん(HSS型HSP)

このタイプは、HSPの中ではやや少ないです。好奇心旺盛で、安心安全の場であればチャレンジができます。ただ、刺激がストレスとなるため、一人の時間を持つことで体力を回復します。

刺激を求めない外向型の繊細さん(非HSS型HSE)

こちらのタイプもHSPの中ではやや少ないです。社交的で、人との交流は好みますが、些細なことでストレスをためこんでしまうことがあります。人当たりは良く、刺激を積極的に求めないので、比較的リスクは犯さずに行動します。

刺激を求める外向的な繊細さん(HSS型HSE)

外向型の繊細さんのほとんどが、このタイプです。HSEの「繊細ではあるが外向的な気質」に、HSSの「外に向かって刺激を求める気質」が加わった人達のことをいいます。 好奇心が旺盛で行動力もあり、リーダーシップも発揮できます。このタイプは周囲によく気付く繊細さに、社交的でアクティブな要素も加わっているため、ビジネスでは「できる人」と評価されることが多いのが特徴です。しかし後から疲れてぐったりしてしまうことや、傷つきやすい自分の二面性に悩むことも多々あります。

3.HSPとの向き合い方

HSPは病気や障害ではなく、生まれ持った特性(性質・性格)なので、「治療する」ことはできません。しかし、行動や環境を変えることで心を楽にしたり、よりよく対処することは可能です。

①外部から刺激・情報を緩和する

HSPは、外部からの刺激に対して過剰に反応してしまう状態ですので、まず刺激の少ない環境に身を置き、刺激そのものを避けることが考えられます。

(1)デジタルデトックス

現代に生きる私達は、スマートフォンやタブレット、PCなど、インターネットに接続するデジタルデバイスを常に所有・利用している状況です。

私たちの脳は、暇を嫌い、常に新しい情報を求める習性があるため、気軽に利用できるデジタルデバイスを操作し、膨大な情報をインプットしています。

デジタルデトックスとは、一定期間スマートフォンやパソコンなどのデジタルデバイスとの距離を置くことでストレスを軽減する取り組みです。

外部からの刺激に弱いHSP気質の人にとって一定期間このデジタルデトックスをすることで情報を遮断し、落ち着いた一人の時間を持てるようになります。

デジタルデトックスは、デジタルを完全に手放して生きよう、というものではありません。より健全にデジタルデバイスやインターネットと付き合っていくために行うものです。

デジタルウェルビーイングに関してはこちらの記事をお読みください。

(2)イヤホン・サングラスなどで刺激を減らす

HSPの方の中には、大きな音や強い光などが苦手な方が多いです。そのため物理的に刺激を減らす方法として、雑音をカットする「ノイズキャンセリングイヤホン」を使用したり、帽子やサングラスで目に入る刺激を減らしてみましょう。

また寝るときも耳栓やマスクで五感を遮断することでリラックスすることができます。

②落ち着く場所・スペースを見つける

HSP気質の人にとってリラックスしたり、心を落ち着けることは非常に大切です。

ご自身の傾向に合わせて、ここなら落ち着くという場所を是非見つけてみてください。

例えば図書館や、お気に入りのカフェなどを見つけるのもいいかもしれませんね。

③苦手だと感じる人と距離をとる

他人の気分やペースに振り回されやすく、対人関係に疲れがちなHSPの人達にとって少し苦手だと感じる人と適切な距離を置くことはとても重要です。

相手の一挙手一投足によって気分がアップダウンしてしまうため、一緒にいても落ち着く、安心できる人と一緒に過ごすことを心掛けていきましょう。

苦手だと感じる人と無理に仲良くする必要はありません。負担を感じる相手とは距離を置き、自然体でいられる人間関係を大切にするようにしましょう。

④専門家に相談する

HSP気質の中には体調を崩してしまったり、鬱病にまで発展してしまう方がおります。まだまだ世に浸透していないHSPですが、少しずつ専門のクリニックが増えてきました。

少しでも何か体調やメンタルに違和感を感じるときは、専門家に相談して、サポートしていただきましょう。

HSPと向き合うには、HSPを正しく知ることが最も大切です。一括りにHSPといっても病気ではないため、人それぞれのタイプがあります。

今までの人生の中で何が耐えられず、受け入れられなかったか。自分自身の傾向と特徴を正しく知ることで、自分を受け入れられ、豊かな人生へと変えていけます。

自分のことを受け入れ、思いやるセルフコンパッションについて知りたい方はこちらをご覧ください。

4.まとめ

いかがでしたでしょうか?HSPの特徴チェックリストを行い、いくつか当てはまった方も多いのではないでしょうか?

HSPの特徴に該当している方もそうでない方も、人の気質や性格は十人十色です。自分が気になるものが他者は案外気になっていなかったり、逆もまたしかりです。

大切なことは自分の特徴や傾向を正しく知り、それに向き合って対処することです。

どういう時に自分が疲れたり、気分が悪くなるのか、またリラックスして落ち着けるのか。

正解はないので、常に自分と向き合い正しい付き合い方を模索していきましょう。