「自分が書きたいことを本にまとめて世界中の人たちに読んでもらうぞ!」

「今度の学年テストで学年トップの成績を取ってみせるぞ!」

と意気込んで、翌日には、「やろうとは思ってるけどやる気が出ない」と家でテレビやパソコンで動画をみながらダラダラしてしまうことはありませんか。

これは日常の「よくある」風景ですが、もしもこの行動が癖になってしまうと、目標達成に繋がらなさそうなことは想像がつきます。今回のブログでは目標達成や成功者に必要とされ、近年注目を受けているグリット(GRIT)について紹介します。

グリットとは?(英語:GRIT)

では目標達成している人や成功者が持っているグリットとはどんな力なのか?

グリットとは日本語では「やり抜く力」や「忍耐力」などと訳されることが多いです。

目標を達成している人たちは困難があってもめげず、物事を投げ捨てず、粘って結果を求め続けていることが特徴です。一つのことに集中して結果を求め続けていることがグリットであり、目標達成への近道です。

IQと努力?提唱者アンジェラ・ダックワースが持っていた疑問

地頭が良いまたはIQ(知能指数)が高いことと努力はどちらが重要なのか?

結果が求められる社会の中では特に結果に結びつきやすい要因の研究が様々な分野で行われています。その問いに取り組んでいる一人がグリットの提唱者でもあるペンシルバニア大学のアンジェラ・ダックワース氏です。

彼女は世界トップの経営コンサルタント会社の一員として働き、その後教員に転職し、授業で見てきたことに疑問を感じ、それを紐解く形で研究者となり現在は心理学者として活躍しています。

IQが高いことで優秀な成績が取れるという考えが蔓延している教育現場の中で彼女は疑問を持ち続けていました。IQとは関係なく、授業で行っている内容は時間をかけて努力を重ねれば決して解くことが難しい問題ではないのにもかかわらず、なぜ差ができてしまうのか。

その中で彼女は才能の差ではなく、努力を続けるすなわち「やり抜く力」という力の差に焦点をあてて研究をはじめました。

グリット キューブを積み重ねる男性

士官学校からビジネスから教育の現場で見たグリットの研究

アンジェラ・ダックワース氏の研究ではシカゴの公立学校でやり抜く力の研究を行いました。数千人の高校2年生に対してやり抜く力に関するアンケートを行い、誰がその中で卒業するのかを数値化しました。彼女の研究によると家庭の収入、標準学力試験の成績、または学校に対して心理的安全性を感じているかよりも「グリット:やり抜く力」が最も重要な要因であったと発表しています。

教育現場だけではなく、彼女の研究は様々な分野で行われています。

米国のウェストポイント陸軍士官学校ではどの候補生が陸軍訓練を通り抜けて、どの候補生が中退してしまうのか。米国の全国スペリング・コンテストではどの子どもが大会で勝ち残っていくのか。また教育現場では教育困難なちくで新米教師が生徒の学習成果を上げるのに最も成功するには何が必要なのか。全ての研究においてやり抜く力こそが一番大きな要因として挙げられています。

ダックワース氏はTED talkの中で「才能とやり抜く力(GRIT)は異なり、才能があったとしても最後までやり遂げられない人はたくさんいるが、最後までやり遂げる力がある方が成功に辿り着きやすい」ということを発表しています。

これまで成長は、才能や知能(IQ)などに依存していると考えられていたことが多かったのですが、全ての人に成長のチャンスが訪れる「やり遂げる力」に注目が集まっています。

では、この力はどのようにしたら育まれるのか?

 

グリットを伸ばす方法:成長型思考

GRITを引き出すには何が必要なのか。

アンジェラダックワース氏もTED Talk等で発言しているようにグリットを育む方法に関してはまだたくさんの研究が必要とされています。

その中で彼女のはスタンフォード大のCarol S. Dweck 氏はグロース・マインドセット(成長型思考)を有効な方法として紹介しています。グロース・マインドセットとは「学習する能力は固定されておらず、努力によって変えられる」と信じることです。

例えば、年齢相応のIQテストを受けさせた後、「頭がいいね」と能力を褒めた子と、「よく頑張ったね」と努力を褒めた子の二つのグループを作ります。そして、そのグループにそれぞれもう一度IQテストを受けてもらいます。ただし、次は難易度の高いIQテストを受けさせます。すると、能力を褒められた子はすぐに諦めてしまうのですが、努力を褒めた子はやり続けたのです。

自分の努力や行動によって変化を起こせるという成長に焦点をおいた成長型思考のマインドセットを育むことで多少難しいと感じている物事にも諦めずに長く取り組むことができます。

このマインドセットを土台として育むことで「もっと出来る」「やり遂げることが出来る」と自分を信じながら、それを軸に行動をとることで求めている目標達成や成長に近づく良い習慣が身につきます。周りに成長を促す保護者や教員または同僚の立場でもグロースマインドセットを活用し、グリットを育ませることができるかもしれません。

グリットを伸ばす方法:「意図的な練習」

努力を重ねることが才能を勝るという研究が進んでいますが、ただ単に時間を重ねるだけの努力では求めている結果にはたどり着けません。

グリットを育む上でダックワース氏は「意図的な練習(Deliberate practice)」が必要だと話しています。皆さんも今まで行ってきた勉強や練習を思い浮かべてみてください。

何度も同じことをノートに書き続けることを数時間活用し、勉強したつもりでも挑んだテストで求めていた点数を取れなかったことはありませんか?

またはアスリートの世界を想像してください。日々の目標を設けず、日々の結果の振り返りや改善点も振り返らずコーチなしで毎日3-4時間走っているだけでオリンピックのマラソンランナーを目指すことはできません。プロのアスリートにたどり着くために必要な時間をかけていてもその時間の使い方によって結果は大きく異なってしまいます。

アスリートのパフォーマンス等の研究を行っているアンダース・エリクソン氏(Anders Ericsson)は成功に必要なのは意図的な練習であると発表しています。明確な目標を持ってフィードバックを受けながら、その都度調整を行い、何度も繰り返し行っていくこと。

上記を行うことによって明確な目的なく行動を行い続ける自動運転の状態を避けることができます。意図的な練習によって目標に近づいていくことを実感し、より高いモチベーションを持って物事をより長くやり続けられると思われています。(「意図的な練習」についてもっと知りたい方はこちらのブログ記事をご覧ください)

グリットを育むにも、自分の努力にはしっかりと意味があると感じられることが重要です。

今回のブログではグリットに関して紐解いていきましたが、今後もさらなる研究によってグリットの育み方が解明されるのか引き続き注目が集まっています。

参考: Angela Duckworth, 成功の鍵はやり抜く力, TED talk