昨今、不登校や引きこもりの児童が増える中、様々な学校やフリースクールの在り方が模索されています。
そこで2回に分けて不登校に関する定義や調査、具体的なサポートに関してみていきたいと思います。

今回は不登校シリーズ第一弾として、不登校の実態にせまりました。

もくじ
1. 不登校の実態
1-1.不登校とは
1-2.不登校とひきこもりの違い
1-3.不登校となる理由
1-4.不登校児童の数
1-5.不登校傾向の子ども達
2.子ども達をサポートする場所
2-1.フリースクール
2-2.通信制高校
2-3.不登校特例校
3.保護者がサポートできること
3-1.情報収集
3-2.寄り添う
3-3.専門家への相談
4.まとめ

1.不登校の実態

1-1.不登校とは

文部科学省が定める不登校児童生徒とは、下記のように定義されています。

「何らかの心理的、情緒的、身体的あるいは社会的要因・背景により登校しないあるいはしたくともできない状況にあるために年間30日以上欠席した者のうち病気や経済的理由によるものを除いたもの」

不登校には明確な定義があり、その定義に従って使用されるため、ただ「子どもが学校に行かない」という事実だけでは不登校にはなりません。しかし近年、この「不登校」には該当しない「不登校傾向」にある子ども達の存在も顕在化しつつあります。

不登校という呼び方は今でこそ定着していますが、数十年前は今よりもずっと強く「子どもは学校に行くべき」と考えられており「学校ぎらい」の呼称で呼ばれていました。

文部科学省が「学校ぎらい」ではなく「不登校」に名称を変更し、使い始めたのは1998年からで、同時に調査対象も「年50日以上欠席」から、「年30日以上欠席」の不登校児童に改められました。

この「不登校」という言葉が定着し始めた要因は、不登校の児童生徒が増え、社会問題としての側面が強くなったためです。

特にいじめによる子どもの自殺の増加は、「死ぬぐらいなら学校へ行かなくてもいい」という意識が広まった大きな契機となりました。

1-2.不登校とひきこもりの違い

不登校と混同されがちな「ひきこもり」ですが、厚生労働省によると、ひきこもりの定義は

「仕事や学校に行かず、かつ家族以外の人との交流をほとんどせずに、6ヶ月以上続けて自宅に引きこもっている状態」です。

不登校は小・中・高の児童生徒であることが前提ですが、ひきこもりは学校だけでなく会社なども対象範囲に含まれているため、年齢層が幅広いことが特徴です。

もちろんひきこもりは学校も含まれているため、条件が一致していれば不登校でひきこもりと認知されることもあります。

また、不登校とひきこもりの大きな違いは、「社会参加の有無」です。

ひきこもりは、人との交流をほとんど持たないことが多いのですが、不登校は、必ずしも家や部屋から出ないわけでなく、あくまで「学校に登校しない長期欠席」であり、友達や家族と交流することや、習い事に通うなど学校以外の社会参加がある場合もあります。

1-3.不登校となる理由

子どもたちは、実際どのような理由で不登校となるのでしょうか。

不登校になる理由は、様々な状況や要因が関与しており、1つだけではなく、複合的な理由が絡み合っているケースが多いようです。そのため、原因が特定できないことがあるという点は留意しなければなりません。

「不登校生徒に関する追跡調査研究会」の調査結果によると、不登校となる主な要因は大まかに4つに分けられます。

① 学校での人間関係の悩み

学校での人間関係は、もっとも多いとされている不登校のきっかけです。特に、友人とのけんかや、学校でのいじめ、いやがらせ、部活動の先輩・後輩や、先生との人間関係の悪化は、不登校のきっかけとなりやすいのです。

②勉強に対する悩み

勉強に関する事柄が不登校のきっかけになっているケースも非常に多くなっています。

学校の大半が授業時間なため「授業がおもしろくない」「成績がよくない」「テストが嫌い」などの様々な理由により学校に通うことが辛くなってしまいます。

特に小学校から中学校に切り替わるタイミングで、勉強の難易度があがるため、授業についていけない子ども達が大きく増えることが分かっています。

③学校やクラスの雰囲気になじめない

最初から学校に馴染めなかったわけではなく、入学や転校、進級した際に、新しい学校・クラスの雰囲気になじめないこともきっかけとなります。急な変化に対応できない子にとっては大きな不安を生み出すきっかけにもなります。

また、学校の厳しい校則やルールに違和感や反感を抱いて、不登校になる子もいます。

④生活リズムの乱れ

家庭での生活に関係する事柄が不登校のきっかけになっていることがあります。中でも目立つのが「生活リズムの乱れ」です。

原因は、部活動や塾通いの多忙さにより就寝時間が遅くなってしまうことや、テレビゲームやSNSを見続けることで睡眠不足になってしまうケースです。

朝起きられないため登校できなくなり、不登校の間にますます生活リズムが乱れてしまう悪循環を抱えることになります。

文部科学省『令和元年度児童生徒の問題行動・不登校等生徒指導上の諸課題に関する調査』(以下、「調査」)によると、小中学校で最も多いのが「無気力・不安」で39.9%。「いじめを除く友人関係をめぐる問題」で15.1%、「親子の関わり方」で10.2%と続きます。

高校で最も多いのも「無気力・不安」で33.8%。「生活リズムの乱れ・あそび・非行」が15.0%、「いじめを除く友人関係をめぐる問題」が12.1%と続きます。

一番多い「無気力・不安」は上記①~④の組み合わせにより引き起こされていることが考えられます。

1-4.不登校児童の数

今の日本にはどれぐらいの不登校児童がいるのでしょうか。

先述の文部科学省の調査によると、小学校、中学校、高校の長期欠席者数は、小学校9万89人、中学校で16万2736人、高校で7万6775人。

そのうち不登校なのは、小学校5万3350人、中学校12万7922人、高校5万100人で、在籍数に占める割合は、それぞれ0.8%、3.9%、1.9%となっています。

不登校は小学校、中学校で平成25年から前年比プラスを記録しています。

小・中学校の学年別に不登校児童生徒数を見ていくと、学年が上がるごとに増加し、特に中学校に入ると一気に増加。中学3年生では不登校生徒が5万人弱に達します。

中学校生徒1000人当たりの不登校は全国平均39.4人という結果になっています。今や1クラスに1人は不登校児童がいることになります。

高校で不登校児童の数が減るのは、高校での不登校が、原級留置(留年)や中途退学(中退)につながることに関係しているためです。中学までは義務教育であるために行きたくない子は「不登校」となってしまうのです。

1-5.不登校傾向の子ども達

日本財団は、少子化が進む中で増加する不登校の子どもの実態を把握すべく、2018年に「学校に馴染んでいないと思われる子どもたちの実態」について中学生を対象に調査を実施しました。

その結果、不登校傾向にある中学生(年間欠席数は30日未満)は、全中学生約325万人の10.2%にあたる約33万人で、文部科学省が調査した不登校中学生の数の約3倍であり、約10人に1人が不登校傾向にあることが分かりました。

この調査で、中学校に行きたくない理由を調べたところ、「疲れる」「朝、起きられない」などの身体的症状以外の要因では、「授業がよくわからない・ついていけない」「小学校の時と比べて、良い成績が取れない」「テストを受けたくない」などの学業に関する理由がみられました。

日本財団の調査結果で初めて「不登校傾向」の子ども達の存在が顕在化しました。そしてこの不登校傾向は分類すると大きく4つに分けられます。

(1)教室外登校 

学校の校門・保健室・校長室等には行くが、教室には行かない。

主な特徴としては、保健室登校、図書室登校、校長室登校、校門登校などです。

頻度は、月2~3回以上、もしくは1週間続けて

(2)部分登校 

基本的には教室で過ごすが、授業に参加する時間が少ない。 

主な特徴としては、給食登校(給食を食べに登校する)や、遅刻や早退が多い。

頻度は、1か月に5日以上、1日に何度か、一時的に保健室などで過ごすなどです。

(3)仮面登校A (授業不参加型)

基本的には教室で過ごすが、皆とは違うことをしがちであり、 授業に参加する時間が少ない。 主な特徴としては、授業がつまらない、または授業内容とは別に追求したい・学びたいことがある。頻度は、月2~3回以上、または1週間続けて

(4)仮面登校B (授業参加型) 

基本的には教室で過ごし、皆と同じことをしているが、 心の中では学校に通いたくない・学校が辛い・嫌だと感じている。

参照:日本財団「不登校傾向にある子どもの実態調査報告書」より

(4)の仮面登校B(授業参加型)のパターンは思い当たることがある方も多いのではないでしょうか。このように不登校になっていない場合でも、潜在的不登校、不登校傾向の子ども達の数は年々増加していることが分かっています。

2.子ども達をサポートする場所

2018年の日本財団の調査によると、不登校または不登校傾向にある現中学生と卒業生(中学卒業後~22歳)に聞いた学びたいと思える場所には、「自分の好きなことを突き詰めることができる環境」がトップであることが分かっています。

他にも「自分の学習のペースにあった手助けがある」「クラスや時間割に縛られず、自分でカリキュラムを組むことができる」「常に新しいことが学べる」などが挙げられています。

このような子ども達の主体性を尊重する学びの場としては、下記の3つが挙げられます。

2-1.フリースクール

フリースクールとは、何らかの理由で学校に行けなくなってしまった子供たちが通う民間の教育施設です。主にNPO法人や個人が運営しており、子供たちにとって学校以外の居場所・学び場を提供しています。

対象者は施設によって異なりますが、小・中学生を受け入れ対象としているところが多く、中には高校生~20歳くらいの年齢まで幅広く受け入れている施設もあります。

詳細はこちらの記事をご確認ください。

2-2.通信制高校

中学卒業後の学びの場としては、通信制高校があります。通信制高校は、毎日通学する全日制高校や定時制高校と違い、必要に応じて通学する自宅学習が基本となります。

通信制高校は、いろいろな人を受け入れ、個々のニーズに応える多様性を持っているので、生徒にどんな事情があろうとも「勉強をしたい!」「高校を卒業したい!」という意欲さえあれば誰でも入学することができます。

自分のペースで学習を進められるため、自由時間が多く、その分趣味や仕事などと両立することができます。通信制高校の多くは単位制なので、出席日数ではなく、取得単位数や高校在籍日数などの卒業要件を満たせば卒業することができます。

ただ、卒業するには自己管理能力が必要であることや、登校が少ないので友達を作る機会が少ないことが懸念点となります。

そこで通信制高校に通う生徒をサポートするために、サポート校があります。
サポート校は、通信制高校に在籍する生徒の学習を支援するための教育施設のことです。

勉強でわからないところがあった時などに学習の支援を受けられます。

サポート校は、学校基本法の定める学校ではないので、設置に関して法的な基準はありません。そのため、生徒にどのような支援をするのかはサポート校によって異なります。大学受験のための勉強の場を与えたり、不登校だった生徒の学力を補ったりと、サポート校ごとに特色があります。

2-3.不登校特例校

近年少しずつ増え始めているのが、不登校特例校といわれる学校です。

不登校特例校とは、学校教育法施行規則に基づき、不登校児童生徒を対象とする特別の教育課程を編成して教育を実施する学校のことです。

少人数指導や特色ある教育、個に応じた学習・体験が可能となり、令和2年9月1日現在、全国で16校(内、公立学校7校、私立学校9校)が指定を受けています。

近年公立の学校でも不登校児童に配慮した学校が増えています。

2021年4月に自治体主導としては初となる、公立不登校特例校となる不登校児専門の草潤中学校が岐阜市に開校されることになり、全国的なニュースになりました。

その方針は、「すべての授業はオンラインも併用のため通学してもしなくてもOK」、「担任教師は生徒側の選択制」、「時間割は教師と生徒が相談しながら一緒に決める」など、実に革新的です。

こちらの草潤中学校の視察レポートは、第二弾の記事(6月中旬発行予定)をご参考ください。

3.保護者がサポートできること

3-1.情報収集

自分の子どもが不登校、または不登校傾向になった際、どこにどのような相談をすればよいのでしょうか。

学校や地域のNPO、カウンセラー等に相談することもできます。ただ、相談する前に、色々と情報収集をしてみるのも手かもしれません。

不登校新聞は、1998年にNPO法人全国不登校新聞社が創刊した日本で唯一の不登校に関する新聞(不登校の専門紙)です。

子どもの本音、親の体験記、学校外の居場所、相談先の親の会情報等が掲載されており、今まで1000 人の子どもの声を掲載してきた実績があります。

不登校・ひきこもりで悩む親、当事者、支援者のために、また不登校・ひきこもりから考えあいたいと思う人のための新聞なので、ご関心がある方は是非ご確認ください。

3-2.寄り添う

長期欠席をする不登校の子どもは、学校に行くことの恐怖や拒否感、嫌悪感との葛藤に苛まれることがあります。「不登校は悪いこと」という価値観が、子どもたちを追い詰めてしまっている場合もあるのです。

不登校に至る背景には、様々な状況や理由があり、それを回避するために「不登校」という選択を取ることは決して悪いことではありません。不登校を経験した人の中には、自分の人生を切り開く大きな契機になった方もいます。

原因は何なのか、不登校は悪いことではないということを子どもに伝えながら、子どもの考えや価値観を認め、今後どうすることが本人にとってベストなのか一緒に考えてあげることが大切です。

3-3専門家への相談

不登校への支援を行う民間団体には不登校支援センターがあります。

不登校になる経緯や家庭での様子などを確認し、原因や理由を把握して、それぞれに必要なカウンセリングや支援方針の立案が行われます。

状況把握や信頼関係の構築を行い、不登校解決の目標を立て、それぞれの子どもに合った取り組みで、自主的に再び登校できるようサポートしてくれます。

他にも、教育相談センター(都道府県・市区町村)、医療機関(小児科・児童精神科・小児神経科・発達外来などの医師)、学校(養護教諭、スクールカウンセラー)、民間のカウンセリング施設等があります。

保護者が子どもと向き合って話すことも重要ですが、焦りや不安から子どもと上手くコミュニケーションが取れないケースも出てきます。そのような場合は、専門家によるカウンセリングを受けることも選択肢としていれておきましょう。

4.まとめ

近年増えている不登校、不登校傾向の子ども達。様々な要因が絡み合い、学校に行くことができないケースが増えています。

ただ本当に大切なのは、どのような状況にあっても、子ども達が学ぶことのできる場に繋がれることです。

子ども達に寄り添い、これからどのような選択がベストなのか話し合った上で、本当に好きなことややりたいことを、安心安全の場でできる道を見つけられればと思います。