どうすれば目標達成をよりサポートできるのか?

どうすれば生徒・子どもの力を引き出せるのか?

効果的なフィードバックを与えることで目標達成やパフォーマンスの向上へとつながるという研究が世界中で発表されています。

今回のブログではそもそもフィードバックとは?という点から始まり、フィードバックに関する有名な研究を紐解きながら効果的なフィードバックを紹介していきます。

目次
1. フィードバックの意味(feedback)
2. フィードバックに関する研究
3. フィードバックが明確にする問い
4. 効果的なフィードバックは3つの質問に答える
 4-1. 目標・ゴールは何なのか?
 4-2. ゴールに対する進捗は?
 4-3. 次はどこを目指すのか?
5. フィードバックの4つの対象と具体例
 5-1. タスクへのフィードバック
 5-2. プロセスへのフィードバック
 5-3. 自己管理に対するフィードバック
 5-4. その人自身へのフィードバック
6. まとめ Feedback is a gift


1. フィードバックの意味(feedback)

ビジネスや教育の場面でフィードバックの重要性が注目されています。

フィードバックとは「対象者の言動に対して、他者が口頭や文章などで改良や調整を促すために指摘する行為」です。

例えばビジネスであれば、上司が部下の働き方やパフォーマンスに対してよりパフォーマンスを高めるためにフィードバックを与えることや、教育では教員が生徒の成果物に対してフィードバックを与えてより改良ができるように指摘をする場面がフィードバックをしている状況です。

元々はITや工学の世界で活用された言葉であり、入力したものに対して出力を戻す操作や流れのことを指していました。

現在ではより広い分野で活用されており、ビジネス面や教育面での人材育成でも活用されるキーワードになりました。

2. フィードバックに関する研究

フィードバックに関する研究は世界中で行われており、その中でも有名なのがハッティ氏の研究です。2007年に発表されたハッティ氏の”The Power of Feedback”では500以上のメタ分析の結果、何百万人の生徒のデータを元に教育的に効果がある要因を調べていきました。そのうちの対象がフィードバックの有効性でした。

ハッティ氏の研究では教育機関で行われる行動のうち、生徒の教育的パフォーマンスに影響を与える要因を数値で表していきました。100以上の要因を調べた結果、通常の学校で行われる行動の平均的な効果は0.4とされ、0.4以上の効果を持つものは高い影響力を持つとされています。

ハッティ氏の研究結果ではフィードバックは0.7以上の結果を出す行為だとされています。

では、フィードバックが効果的になるには何を意識すればいいのか?

3. フィードバックが明確にする問い

ハッティ氏はフィードバックとは、自らのパフォーマンスや理解度に対して得られる情報だと定義しています。その情報の元は先生や同級生、親であったり、または本で読んだ内容や自らの体験からも得られるとしています。

今回は特に他者から得られるフィードバックに注目します。

フィードバックの役割は現状のパフォーマンスと目的とのギャップを埋めていくことにあります。

それを行うためにフィードバックは重要な3つの質問に対して答えを与えるものであるとされます。

フィードバックを与える側にいる場合は、下記の3つの質問を頭に入れながら、相手がどの状態にいるのか、どの問いを明確にするサポートが必要なのかを見極める必要があります。

4. 効果的なフィードバックは3つの質問に答える

4-1. 目標・ゴールは何なのか?

そもそもフィードバックをする上では何かしらの背景が必要です。

その背景の一つが目標です。何かを目指している、または達成しようとしている中でこそフィードバックは意味は持ちます。

そのために、フィードバックを通して明確にするべき最初の問いは「目標やゴールが何なのか?」という点です。

何を目標にしているのか?

その目標を達成すると何が得られるのか?

なぜその目標を達成したいのか?

すでに目標が設定されている場合でもその目標を明確化することや再確認することで、そのゴールの本質が見えてきます。

4-2. ゴールに対する進捗は?

目標やゴールが明確に設定された上で次に重要な問いがその目標に対する経過です。

「ゴールや目標に対する進捗は?」この質問を通して、現在地を確認し、その場所へたどり着くまでの道のりを振り返ることをフィードバックを通して行います。

どのようにして現状にたどり着いたのか?

目標を達成できる道のりになっているのか?

この時点で評価できる点はどこにあるのか?

今までを振り返った上で改善できる点はあるのか?

必死にゴールに向かって走っているからこそ当本人が気づかない点も多くあります。

その際に外から上司や教員などからフィードバックをもらうことで様々な気づきを得ることができます。

また自分が設定した目標やゴールに対して現状の行動がずれてしまっている場合に軌道修正を行うためにもこの問いについて考えさせるフィードバックはとても重要です。

4-3. 次はどこを目指すのか?

上記の2点で「目標」と「現在地・道のり」を確認しているため、最後の問いはその目標を達成を実現するための「次の行動」に焦点をあてます。

どうすれば目標を達成できるのか?

具体的にどのようなステップが考えられるのか?

自分がいますぐ取れる行動はなんなのか?

その更に次のステップは何が必要になるのか?

目標や現在地を確認した上で、上記の質問等に答える形で軌道修正などをしながら目標へと近づくための計画を作って実践していきます。

また、一旦当初の目標を達成した場合でも次はどこを目指すのか?という点を考えていくのも大事になってきます。

5. フィードバックの4つの対象と具体例

フィードバックが3つの問いに対して答えを探すサポートをすることを紹介しましたが、フィードバックの内容に対しても紹介していきます。

何に対してフィードバックを与えるのか、ハッティ氏の研究ではフィードバックの対象を大きく4つに分けています。

5-1. タスクへのフィードバック

タスク自体へのフィードバックは成果物やパフォーマンス自体に対するフィードバックになります。多くの場合は成果物に対して正解や不正解を指摘することとして現れます。

例えば、上司や教員が部下や生徒が出してきたレポートに対しての具体的な指摘などはこの分類になります。

「このレポートの〇〇のデータを調べ直してみてください」

「このプレゼンの〇〇の情報が間違っているので修正をお願いします」

などのフィードバックはタスクへのフィードバックになります。

タスクへのフィードバックはとても有効ですが、タスクレベルでのフィードバックだけを大量に与えてしまうとタスクを行うためのプロセスを修正することがなく、同じようなミスが続く状態になってしまいます。

そのため、タスクだけのフィードバックではなくプロセスへのフィードバックも必要となります。

5-2. プロセスへのフィードバック

上記のタスクだけに留まらず、そのタスクを行うプロセス、やり方や戦略に対してフィードバックを行うことも重要です。

「レポートの結論が気になったので、改めて今回のレポートの目的を考えて、別の調査方法も検討してみましょう」

「レポートの読者をより説得させるにはどのようなことができるのか考えてみよう」

表面的なタスクに対する正解や不正解などのフィードバックではなく、その結論に至るまでのプロセスを見直したり、考えさせるためのフィードバックがこのレベルになります。

より深い学びを促すためにはこのレベルでのフィードバックがタスクへのフィードバックよりも効果的だと言われています。

5-3. 自己管理に対するフィードバック

自己管理に関するフィードバックとは部下や生徒がどのような姿勢や計画性を持って物事に取り組んでいるのかに対してフィードバックをします。

フィードバックを与える相手が自分の現在地をしっかりと把握できているのか、自分の能力や知識を把握できているのか、または自己管理においては計画性を持って目標達成に向けて行動を起こしているのか、またはその姿勢があるのかに対してフィードバックを行います。

「このレポートをよりよくするためには自分の中で足りていないスキルや知識はなんだと思う?」

「改めてこのレポートでの目的を考えた上で、どのような視点が自分には足りないと思う?どうすればそれを得られると思う?」

効果的な学びを行うためには自己管理や自らフィードバックを与えることができることも重要になってきます。

自分の姿勢や計画性や足りない点などに関しても内省して、自分の中で学びや気づきを深められる人の方が効果的に学んでいると言われています。

ただ、自己管理に長けている人でも見落としているブラインド・スポットなどもあるため、フィードバックを与える際には相手が改めて自分の姿勢や自己管理能力を振り返るための指摘を与えることが効果的です。

自己管理(セルフマネジメント)に関して学びたい方は下記の記事をご覧ください。

5-4. その人自身へのフィードバック

タスクやプロセスやその人の自己管理能力などではなく、その人自身へのフィードバックも一つのフィードバックのカテゴリーとなっています。

「〇〇さんはとても素晴らしい生徒さんです!」

上記のようなフィードバックがこの類に入りますが、研究結果ではこのタイプのフィードバックは相手の能力向上や目標達成に対して効果が薄いと言われています。

動機付けという観点からも褒め言葉のような外部的な要因よりも内的要因を促すことが目標達成などにも重要になってきます。

モチベーションや動機付けに関して学びたい方は下記の記事をご覧ください。

6. まとめ – FEEDBACK IS A GIFT

今回のブログではフィードバックの研究を紐解いて効果的なフィードバックをみてきました。

もしあなたが相手にフィードバックを与える際には、相手にとって3つの重要な問いを明確化させるためにどのようなサポートができるのかをまず考えてみてください。

その上で、4つのタイプのフィードバックでどのタイプのフィードバックを行えば最も効果的なのかの組み合わせを考慮してぜひフィードバックを与えてみてください。

研究結果を紐解いてきましたが、フィードバックを与える際にはとても重要な考えがあり、それは「FEEDBACK IS A GIFT」という考え方です。

相手に目標を達成してほしい、相手がより自信を持って欲しい、相手のためを思っているからこそプレゼントとしてフィードバックを与えるという想いを忘れずに相手にプレゼントを与えましょう。

また、これは与える側だけではなく、受け取る側においてもとても重要な点です。相手がわざわざくれているプレゼントは快く受け止めましょう。

ぜひ皆さんもフィードバックを実践しながら、自らの目標や周りの方々の目標をサポートする上で活用してみてください。