多くの場合、私たちは日々の出来事を孤立したものとして捉え、単純な出来事としてしか捉えていません。そのままでは実は多くの学びの機会を失ってしまっているのかもしれません。忙しい日々の中でも「振り返り」を行うことによって自らの成長を実現することが可能です。今回の記事では振り返りの重要性と効果的に行う手法を紹介していきます。

振り返り(リフレクション)とは?

振り返りとは英語でリフレクション(reflection)と呼ばれており、自らの言動や傾向を客観的に捉えて、次に向けた改善点の洗い出しを行い、その改善点を実行することを示しています。

「効果的な行動のあとには静かな振り返りを行おう。その静かな振り返りからより効果的な行動がうまれる」

“Follow effective action with quiet reflection. From the quiet reflection will come even more effective action.” – Peter Drucker

マネージメント研究において第一人者のピーター・ドラッカーの言葉として上記の言葉があり、ビジネスパーソンをはじめ多くの方が振り返りを行うことによってより効果的な行動を選ぶことができます。

振り返りの重要性:学習やパフォーマンスにおける有効性

何かがうまくいっていないときに立ち止まって振り返る方は多いかもしれませんが、日常的に振り返りを行なっている人は少ないのではないでしょうか。

振り返りを行うことはなぜ重要なのか?

振り返りを行うことで客観的にものごとを捉えて、自分やチームの行動をより効果的に修正することが可能となります。 振り返りを通して、自分やチームが設定した目標に対してのパフォーマンスをより正確に把握できます。パフォーマンスが目標を超える成果をあげている場合の要因を明確化できたり、逆に目標を下回っている場合にはその原因を速やかに特定し、修正を施すことが可能です。

コールセンターで働いている従業員のパフォーマンスを測ったディ・ステファノ氏の研究では1日の終わりに15分間かけてその日の学びについて振り返りを行なった従業員は行わなかった従業員に比べて10日後には23%もパフォーマンス向上が見受けられました。

日常的に振り返りを行うことで今まで意識していなかった細かい作業の改善点に気付けたり、自分の癖や行動も認識することができます。振り返りを行うことで日常的な作業にも意味づけを行うことができ、より深い学びや気づきや繋がると考えられています。

振り返りと反省の違い

もうすでに日常生活や仕事などで振り返りを行っている方も大勢いらっしゃると思います。個人やチームで振り返りを行う際にはその振り返りが「反省」に留まらないことが重要です。

「反省」とはすでに起きてしまったことに対して、「なぜそれが起きてしまったのか?」「責任はどこにあったのか」など結果や要因またはその結果に対する責任に注目しています。振り返りの際にももちろん起きたことを扱うのですが、焦点は結果や要因ではなく、それらを踏まえて具体的な次のステップを決めることです。

「反省」の場合は、目的が責任の所在や結果の要因を明確化することに留まってしまうため、次の一手の話が具体的に決まらないことが多々あります。振り返りでは具体的に次のステップを決めていき、それらを実践することが目的となっています。ではどのように振り返りを行えばいいのでしょうか。

振り返っている青年

振り返りはチームでも可能、ビジネスに限らず教育現場でも可能

個人としての日常の中でももちろんですが、会社での同僚や教育現場でも教員が生徒と授業や取り組んだアクティビティやプロジェクトに対して振り返りを行うことで学びを深めることが可能です。 周りの同僚や生徒等の『振り返る』力を引き出すためには、まず個人として振り返る力を高める必要があります。 そのため、今回は日常で個人としての振り返りに焦点をあて振り返りの方法を見ていきます。

効果的な振り返りの手法

1. 時間を作る

多忙な生活の中で一番のハードルとなるのが時間がないという状況です。毎日1時間などの時間は取りづらいかもしれませんが、10-15分でもいいのでスケジュールに組み込んでみてください。手帳やカレンダーで日常を管理されている場合は予め時間を抑えてみたり、帰りの通勤や通学で時間がある方はその時間を振り返りの時間に当ててみたり、意外と時間を探してみると見つけることができます。 寝る前に数分かけるだけでも効果的になりますのでぜひ小さなスタートでもいいので振り返りの時間を意識的に作ってください。

2. 振り返る質問を決める

時間を確保できた上で、重要なのは何に対して振り返りを行うかです。単純に一日の出来事を振り返るのではなく、振り返りの目的を定めるために質問を決めることが効果的です。自分の行動をより効果的にしたい方やチームでのプロジェクトを前進させたい人は下記の質問等を試してください。

『どうしたらより効率的/効果的に作業を進められたのか?』

『周りの同僚やチームメンバー・クラスメートを手伝うために何を行えたか?』

または自分の人生の目標や体現したい価値観などがわかっている方はそれに対しての目標も効果的です。

『今日の行動は私の目標にとって効果的だったのか?どうすればより目標に近づけるのか?』

『今日の自分は自分が大事にしている価値観を体現できていたのか?より体現するには何が必要だったのか?』

3. 振り返りのフレームワーク:① Start, Stop, Continue, Change ② KPT

振り返りに関してはたくさんのフレームワークが存在しています。 そのフレームワークとして、『Start – Stop – Continue – Change』と『KPT』に関して紹介します。Start-Stop-Continue-Changeのフレームワークでは、1日を振り返る際に自分の目標を達成するために、下記の4つでまとめていきます:

・Start:新たに始めるべき行動は何なのか?

・Stop:今行なっている中で効果的ではないためやめるべき行動は何なのか?

・Continue:効果が出ているので今後も続けるべき行動は何なのか?

・Change:今の行動をより効果的にするために工夫できる点・変更できる点は何なのか?

また、振り返りのフレームワークとして「KPT」と言う手法があります。「KPT」とはKeep・Problem・Tryの言葉の頭文字をとったフレームワークです。プロジェクトの進捗や目標達成に対して下記の3つでまとめていきます。

・Keep:続けるべきこと – What we should keep

・Problem:抱えている問題 – What ongoing problems do we have

・Try:次にトライすること:What we want to try going forward

Keepでは今後も続けるべきよかったこと、Problemでは今後やめるべきことまたは乗り越えなくてはいけない課題の洗い出し、Tryでは次に挑戦することに注目します。これらはチームとしても活用可能ですが、個人としても上記を可視化することでより具体的な課題やそれらに対する行動が見えてきます。フレームワークは上記の二つ以外にもたくさんありますが、ぜひ試しながら自分の課題や目標に沿っているものを活用してみてください。

4. 自分に合った方法を試す

時間と振り返る質問が決まったら、自分に合った方法を見つけることが重要になります。振り返りと一言でいってもたくさんの方法が考えられます。 日記や付箋などを活用して自分の考えを書き出して振り返る方法、通学・通勤の帰りで考えながら振り返ること、外やジムでジョギングする中で振り返ること、同僚や友人と振り返りの時間を設けてお互いに話し合いながら振り返りを行うこと、SNSに振り返りを投稿すること。 自分のスケジュールや行動にもっともあっている方法を試しながら探してください。

5. 他の人と一緒に行う

一人で行うことが難しいと感じる方は家族、同僚、友人またはコーチや先生など他者と振り返りを行うことを試してみてください。 相手から効果手にフィードバック等をもらうことでより深い振り返りが可能となり、また他者に自分の新しい行動などを宣言することでより実現する意欲もうまれます。 振り返りの方法を紹介してきましたが、一番大事なのは実践することです。もし興味がありながらも振り返りを避けている自分がいることに気づいたら、その点に関して振り返ってみるのも面白いかもしれません。 振り返りは小さな形でもいいので毎日続けることでより効果を発揮していきます。箇条書きでもいいのでノートに一言書いてみること等から始めて見てください。
振り返りの時間を表す時計