論理的に考えて行動しているはずなのに物事がうまくいかない。

整理した上で考え抜いているのに、求めていた結果がでていない。

このような状況では、クリティカルシンキングが必要かもしれません。

ビジネスや教育の中でクリティカルシンキングを身につけることの重要性が注目されていますが、そもそもクリティカルシンキングとは何なのか?それを鍛える方法についてもご紹介します。

もくじ
1: クリティカルシンキングとは?
2: クリティカルシンキングの重要性
3: ロジカルシンキングとの違いは?
4: クリティカルシンキングを鍛える方法
5: まとめ 

1: クリティカルシンキングとは?

クリティカルシンキング(critical thinking)とは「批判的思考」とも訳される一つの思考法です。

批判的という言葉を見てしまうと、物事を厳しくみたり、否定的な評価を下したり、悪い点に注目して批判をするという印象を抱く方も多いのではないでしょうか。

小学館の辞典ではクリティカルシンキングの定義として「物事や情報を無批判に受け入れるのではなく、多様な角度から検討し、論理的・客観的に理解すること」と示されています。

クリティカルシンキングとは、欠点や悪い点に注目するための思考法ではなく、物事を鵜呑みにせず、適切に疑うことで今までの常識や当たり前をひっくり返し、新たな角度から物事を考えるための思考法やその思考を行う態度を示した言葉です。

「そもそもこの前提は正しいのか?」

「本当にこの進め方でいいのか?」

クリティカルシンキングをうまく活用することで物事を多角的に捉えて、新たな可能性を見つけることも可能になってきます。

2: クリティカルシンキングの重要性

世界のトップ企業や国のリーダー達が集う世界経済フォーラム(World Economic Forum)が発表している2025年に職場において必要とされるトップ10のスキルにはクリティカルシンキングが挙げられています。さらにトップ10の中でも重要性が今後の5年間で特に増えていくスキルとして世界経済フォーラムでは「クリティカルシンキング」と「問題解決能力」をあげています。

近年ではメディアやSNSの発展や普及により情報が日々溢れており、中には根拠や裏付けなどがない「フェイク・ニュース」が話題になっています。

クリティカルシンキングを活用できない状態では、入手した情報を鵜呑みにしてしまい、間違った情報に基づいて行動を起こしてしまう恐れがあります。

これは職場やビジネスだけではなく、個人の生活においても大きな影響をあたえる可能性があります。

世界経済フォーラムが発表したトップ10のスキルのうちの「複雑な課題解決」につながるシステム思考についても下記リンクから詳しく読めます。

3: ロジカルシンキングとの違いは?

クリティカルシンキングと同様に大切なスキルや思考法としてあげられるのが多いのが「ロジカルシンキング」です。

では、具体的にロジカルシンキングとクリティカルシンキングはどのような違いがあるのでしょうか。

ロジカルシンキングとは、物事に筋道を立てて矛盾が生じない形で推論を行う思考法です。

クリティカルシンキングとロジカルシンキングは両方とも論理的に考えることを大切にしています。しかし、ロジカルシンキングは論理的な整合性が成立していることを重要視しますが、そもそもの前提を疑うことなどは行いません。

そのため、ロジカルシンキングは今までの当たり前や常識などを疑わずに理論を考える上では非常に重要な思考法ですが、急激に物事が変わり必ずしも今までの前提のままでは物事がうまく進まない状況では力を発揮できないこともあります。

物事を考える中では大きく3つの段階が存在します。

1. 前提
2. 推論
3. 結論

ロジカルシンキングは、物事にたいして前提から推論そして結論への流れを矛盾なく組む思考法です。

クリティカルシンキングは、そもそもの前提が正しいのか、前提から推論や結論の間でほかの可能性は存在しないのかなどを適切に疑いながら取り組む思考法です。

例えば、英語の成績をあげたいと考えている生徒さんの思考の流れを例としてみてみましょう。

1. 前提:英語の成績を上げたい
2. 推論:勉強時間が足りていない
3. 結論:今まで行ってきた毎日30分の英語の勉強を2時間にする

上記を見ると論理的に整理されており、英語の成績をあげるためには今までの勉強時間では足りないという推論から勉強時間を増やすという結論にたどり着いており、大きな違和感を感じることはないかもしれません。

ロジカルシンキングをしっかりと身につけていることで情報を整理しながら矛盾なく物事を考えることが可能となります。理論の整理ができること自体はとても重要なスキルです。

ではこの状況にクリティカルシンキングを活用すると、どのようなことが起きるのか。

① 前提:英語の成績を上げたい ← そもそもこの目標で正しいのか?成績を上げることで何を得たいのか?

とまずは前提が適切に設定されているのかを疑うことが可能となります。

成績を上げることが本当に必要なのか?なぜこれを目的にしているのか?などを問いかけることで、状況をより本質的に捉えることができます。

例えば、「英語の成績を上げたい」という前提のそもそもの目的が英語で海外の人と喋れるようになりたいという点であれば、上記の結論である今までの勉強時間を増やすだけでは足りないかもしれません。ドリルや単語帳と向き合う時間を増やすだけよりも、実際に英語でたくさんの人と話す実践の方が重要かもしれません。

上記の例に限らず、前提が変わることによってもちろんその後の推論や結論も大きく変わってしまいます。

クリティカルシンキングを用いることによって、物事の本質を捉えて、今まで考えていなかった結論を導くことが可能になります。

人が判断をするときに無意識にとってしまうクセを理論化した「推論のはしご」については、下記リンク先から読めます。

4: クリティカルシンキングを鍛える方法

日常生活の中でもクリティカルシンキングを鍛える場面はたくさん存在します。

今回はその中の1つを紹介していきます。

当たり前、前提、思い込みはどこまで本当か?

様々な情報が行き交っている中、どうしても情報をそのまま受け入れてしまうことが多いと思います。

例えば、

・専門家が言ってるから正しいであろう
・みんなが納得しているから正しいに違いない
・いままでその通りだったから正しいはず
・論理的に考えたから自分の考えは絶対に正しい

本当に上記においてもどこまで正しいのか?

上記の正しさを覆すような情報は存在しないのか?

例えばテレビに出ている専門家の情報を見た上で鵜呑みにせず、その情報を調べてみると同じ分野の専門家が全く別のことを主張していることも珍しくはありません。

「みんなが納得しているから正しい」や「いままでその通りだったから正しい」という点も場合によっては数十年前の昔の状況を反映しただけの行動や結論であり、現代の状況には当てはまらない可能性もあります。

「自分が論理的に考えたからまたは経験したから正しい」なども自分の中に存在する思い込みやたまたまの偶然を勝手につなげてしまっている可能性はないでしょうか。

人はどうしても思考の偏りや傾向をもって生活をしています。

多くの人が良いと言っていることを高く評価してしまう心理的バイアスを表す「バンドワゴン効果」であったり、新しいことや変化を受け入れず、現状維持を優先してしまう心理傾向を示す「現状維持バイアス」などたくさんの傾向や偏りのもとで日々過ごしています。

その偏りが自分の中でどのような思い込みや当たり前を作っているのか、その思い込みに気づき、客観的に物事をみることでクリティカルシンキングを高めることが可能になります。

文章を批判的・構造的に分析し、単に内容を理解するだけではなく、生活に応用したり、内容に疑問を持ったりする力であるクリティカルリーディングに関する記事はこちら。

5: まとめ

クリティカルシンキングは情報が溢れかえっている世の中では今後ますます必要とされるスキルです。

自分が触れる情報や状況に対して、鵜呑みにするのではなくその前提や正しいと思われる部分に対して「本当にどこまで正しいのか?」「自分の中でどのような傾向、偏りが存在するのか」を考えることでクリティカルシンキングのくせを身につけることができます。

日常の中でもクリティカルシンキングを高められる機会はたくさんあります。日々接している状況や情報に対してクリティカルシンキングを活用して、より本質を捉える練習を一緒に行ってみませんか。