「アイデアを出すのが苦手だ」

このような思いを自分に言い聞かせてしまっていませんか?

会社でのミーティングや学校でのグループワークで中々いいアイデアが出てこない。

何個もアイデアを出しても同じようなアイデアに偏ってしまい、面白い提案に繋がらない。

こんな状況を打破するために、今回のブログでは創造的なアイデアの出し方について紹介します。アイデアを出すために大切な3つの要素を紐解いていきます。

ぜひアイデアを出す次の機会に試してください。

1. ぶっ飛んだアイデアを起点にする

面白いアイデアを出そうと考えても、どうしてもありきたりのアイデアしか出てこない。ユニークなアイデアを絞り出すのに苦労する方が多いのではないでしょうか。

では、奇想天外なアイデアを生み出すためにはどのようなプロセスが効果的なのか。

スタンフォード大学のジャスティン・バーグ氏の研究でアイデアのプロセスについてヒントが見られます。

彼の研究では、被験者の学生たちに「就職試験の面接で使える新製品」のアイデアを出してもらいました。

Aグループに対しては三つの穴で書類を留めるごく普通のバインダーを見せてからアイデア出しをしてもらいました。彼らが思いついたのはレジュメや名刺を入れるポケット付きのフォルダー等のアイデアとなり、これらのアイデアを書店のオーナーや顧客が評価しました。このグループのアイデアは、とても普通なアイデアという評価が下されました。

一方でBグループはスタート地点として、ローラースケートのような例を出した上で同じお題に対してアイデア出しをお願いしました。すると面接官から目を離さないでも済むように時計を見なくても時間がわかる腕時計などのクリエイティブなアイデアが生まれました。書店のオーナーや顧客からの評価ももう一つのグループと比べてユニークさにおいて37%高い評価を受けました。

スタート地点を一見関連性が見えないところから始めることで多様なアイデアを出してもいいという雰囲気を作ることが可能です。

チームでアイデアを出し合っている時に奇想天外なアイデアが出てもあまりにも一般的ではないので躊躇してしまった経験がある方はいるのではないでしょうか。

アイデア出しは普遍的なアイデアよりもぶっ飛んだ、一見関連性が見えないところから始めることで常識にとらわれずアイデアを出すことができます。課題とは離れているようなスタート地点を設定することでより独創的なアイデアが生まれやすい環境を作れます。

Crazy Ideasが求められる

ぶっ飛んだアイデアに実用性をもたらす方法

しかし、ただ奇抜なアイデアを産むだけでは実行可能なアイデアにならない可能性も十分あります。 

バーグ氏の研究もこちらの点に触れております。

バーグ氏はまた別のグループにローラースケートの例を出し、常識を外れたスタート地点からアイデア出しを始めさせました。ただ今回はある程度のアイデア出しが行われた後に面接の場面でよく人々が使用する製品の写真をいくつか見せました。そして、その写真を見た上で、アイデアをさらに洗練するように指示を与えました。

すると被験者が磨き上げたアイデアの実用度に関する評価は平均で14%も向上しました。ユニークさという評価を落とさずに実用度の評価が上がっていたと発表されています。

常識を外れたスタート地点から入り、途中で普段から使われている商品などを見せることでユニークでありながらより実用性が高いアイデアが産むことができます。

スタート地点は奇想天外なところからスタートをさせ、途中の段階で実現性を加えるプロセスが重要となってきます。

皆さんがアイデアを出す会議等に参加する際にもスタートは一見関連性がないところから設定しながらも会議の途中で現実性を与える工夫を試してみてください。

ポストイットで埋まっている壁、アイデアが溢れている

2. 質よりも量:たくさんのアイデアを出す

ユニークでありながら実用性も併せ持ったアイデアを出すプロセスの研究を見てきましたが、どれくらいのアイデアを出せばいいのでしょうか。

一人でアイデアを出す際には1時間ほど時間をかけて、20-30個ぐらいアイデアを出せば達成感を感じる方も多いのではないでしょうか。

オリジナルなアイデアを出す人々や創造力に関して研究を行なっているペンシルバニア大学ウォートン校のアダム・グラント氏は創造力に溢れたアイデアを出すためには200個のアイデアが必要だと発表しています。

創造的なアイデアを生み出すにはまず質ももちろん大事ではありますが、量を出すことが重要です。

例えば、みなさんはモーツァルトやベートーヴェンの曲をどれくらいご存知でしょうか。有名どころをあげても、それぞれの作曲家で多くても10-20曲ぐらいしか出ないのではないでしょうか。彼らが生涯に作曲した数は500以上だと言われています。何百も作っていく中でいくつかの名作が生まれているというのが見受けられます。

また、映画制作の場面でもたくさんのアイデアを出すことが重要視されています。大ヒットシリーズとなったアニメ映画のカーズに取り掛かる前に制作会社のピクサーは500以上の脚本を見た上で最終案を選んだと言われています。

問題解決方法として注目を受けている「デザイン思考」のプロセスを活用し、創造的な解決策を作っているプロジェクトチームなどは壁一面がポストイットで埋まるほどアイデアを出し合っていることが珍しくありません。複数のメンバーがそれぞれのアイデアを自由に貼り出し、お互いのアイデアを見ながらさらにアイデアを追加していくという好循環が生まれていることもよくあります。

創造的なアイデアを生み出すにはまずたくさんのアイデアを生み出すことが近道です。

次回アイデア出しを行う際には数十個で満足せず、少なくとも200個のアイデアを目指してください。

アイデアが人から人へと繋がっていく

3. 周りのアイデアを活用:アイデアに積み重ねる方法

しかし、創造的なアイデアを0から生み出すのは大変な作業であることは間違いありません。特にアイデアが溢れかえっている現代社会で本当に独創的なアイデアと言えるものは限られているのではないでしょうか。

成功を収めるためには常に自ら0からのアイデアを生み出すのではなく、他の人のアイデアに積み重ねて工夫をする方法も有効的な手段です。

市場開拓において、新しい市場を作り上げるために一番乗りになること(First Mover)で大きな利益を得られると言われています。新しい市場を作る上で早い段階で動くことで得られる利益はもちろんあると思います。

ただ、開拓者として新しい市場を作ろうと動いた組織とその後にアイデアを改善させて乗り込んだ組織のデータを見ると面白い傾向が見られます。開拓者の失敗率は47%と高い数字ですが、その後にアイデアを改善した上で乗り込んだ組織の失敗率は8%と大きくリスクを軽減していることが研究で発表されています。

創造的なアイデアとは0から生み出すだけではなく、他のアイデアをさらに改善させることが効果的であることが見受けられます。

独創的なアイデアをもち、世界に大きな影響を与えたスティーブ・ジョブス氏の若かりし頃の有名な発言があります。彼はあるインタビューでピカソの言葉を紹介しています。

“Picasso had a saying “Good artists copy, Great artists steal’. And we have always been shameless about stealing great ideas.”

『ピカソの発言でこのような言葉があります「優れた芸術家は模倣し、偉大な芸術家は盗む」。だから僕たちも素晴らしいアイデアを盗むことを恥じることはなかった。』

知的財産などの観点からも、もちろん他者のアイデアを盗むことを推奨しているわけではありません。ただビジネスであったり、社会的な問題に対するアイデア出しの際も多くの場合は世界を見渡すとどこかに前例があったり、成功者がすでに存在していることも多々あります。

それらをしっかりと分析し、その上で自分の状況や課題に対してさらに自らの工夫を加えることが必要になってきます。

アイデアを必ずしも0から生み出すのではなく、すでに存在するアイデアを活用しながら、それらに自分の工夫を積み加えていくのも有効的な考え方です。

 

建設的なアイデア出しを実現する手法:YES AND

アイデア出しを行っているけどチームとしての一体感がない、数は出ているけどお互いの関連性が見えない、アイデアは出しているけど誰も聞いてくれていない、それぞれが黙々とアイデアを出しているだけで話し合いが行われていない。このようなアイデア出しの場を経験したことがある方も多いのではないでしょうか。

上記のような状態を変え、今回紹介した3つの方法も実践しやすくする土台となる「YES AND」という大切な考え方を紹介します。

「YES AND」とは即興演劇(インプロ)で使用される基本的な考え方で、「まずは相手のアイデアを否定せず受け入れること(YES)、さらに自分のアイデアを加えて返す(AND)」という考え方をまとめた言葉です。

ではまず上記とは逆にYES ANDではなく、NOやBUTで溢れている会議でのアイデア出しを想像してみてください。

A「次のイベントの案を考えていきたいと思います。」

B「せっかくなので野外でのイベントはどうだろう?」

C「夏だと暑すぎるので、熱中症とかが怖いので難しい」

A「では、室内で立食パーティーとかはどうかな?」

B「アレルギーを持っている人もいるので食べ物は避けた方がいいかも」

C「では体を動かすようなアクティビティを室内で行うとかは?」

A「やはり熱中症が怖いし、汗をかくのがいやという人もいるだろうから、、、」

このような形で会議が進められては新しいアイデアが生まれないのは想像に難くないと思います。お互いの粗探しが目的のようになってしまいアイデアを出すこと自体に億劫になってしまいます。

では、YES ANDを活用した会議をみてみましょう。

A「次のイベントの案を考えていきたいと思います。」

B「せっかくなので野外でのイベントはどうだろう?」

C「いいね!外だと開放的だし、今までとは違うテイストが出せるかも。熱中症は心配だから、対策案も加えたいね」

A「それならイベントと合わせてロゴ入りのタオルやひんやりシートを配るのはどうだろう」

B「外でBBQとか立食パーティーとかもできないかな」

C「楽しそう。美味しいものがあるとテンションも上がるよね。アレルギー持っている人は要注意だね」

A「出している食材のアレルギー情報がパッとみてわかるように工夫したり、そもそもナッツとかアレルギー性の高い食材を避けることはどうだろう」

上記のようにNOやBUTを使わずにYES ANDを基本とした会議だと間の積み重ねが行われやすく、それぞれのアイデアが加わりながら議題が進んでいきます。

YES ANDを基本にアイデア出しを行っていくとそれぞれのアイデアがちゃんと拾われているという感覚があるため、アイデアを出すことに対しての恐れなどを低減することができます。

一つ大事な注意点としては、YES ANDは必ずしも相手のアイデアに合意するという意味ではありません。

相手のアイデアを尊重し、受け入れることは大事ですが相手のアイデアに合意すると勘違いしてしまうと、アイデアの欠点が洗い出せなかったり、新たなアイデアを産むことは難しくなってしまいます。

今回紹介したアイデア出しの3つの方法に加えてYES ANDをアイデア出しの際の基本的なルールとして設けることでより建設的かつ創造的なアイデア出しが実現できます。

周りのアイデアに積み重ねるという点では、チーム内でもお互いのアイデアに積み重ねることがとても大切になってきます。

 

アイデアの出し方のまとめ:

・独創的なアイデア:課題とはかけ離れたスタート地点を設定することで独創的なアイデアがうまれる

・現実的なアイデア:独創的なアイデアに現実性をもたらすステップを踏むことでより実現しやすいアイデアへと洗練される

・アイデアは質よりも量:質よりもまずは量を出すことでいいアイデアがうまれる

・他のアイデアを真似て、自分の工夫も加える:0から全てを作る必要はなく、既存のアイデアに付け加えることでいいアイデアを増やすことができる

・アイデア出しを行うために「YES AND」を土台にすると建設的な場を作れる

今回ご紹介した創造的なアイデアにたどり着く方法をみなさんにも試していただきたいと思います。

創造的なアイデアを出す方法を身につけるプログラムにご興味がある方はぜひこちらのページをご覧ください。

[参考]
アダム・グラント
独創的な人の驚くべき習慣
https://www.ted.com/talks/adam_grant_the_surprising_habits_of_original_thinkers?language=ja