職場や学校、家庭の中で意見が対立することは誰にでもあることだと思います。
皆様は、意見が対立した時、どのような反応・対応をされていますか。
どうすれば相手と対立を深めることなく、適切なコミュニケーションが取れるでしょうか。

もくじ
1. 対立した時の反応
2. 意見の対立を解消する4つのステップ
2-1. ステップ1「問題を明確にすること」
2-2. ステップ2「合意点を見つけること」
2-3. ステップ3「相手の気持ちを理解すること」
2-4. ステップ4「意見を冷静に述べること」
3. まとめ


1. 対立した時の反応

皆さんは、相手と意見が対立したとき、どのような反応をする傾向があるでしょうか。

大きく分けて4つの反応に分けられると思いますので、下記の1~4の中で普段ご自身が取られている反応がどのようなものか一度考えてみてください。

1.自己主張型:自分の意見を押し通そうとする、自分の意見の正しさを主張する

2.譲歩型:相手の意見に合わせる、妥協する

3.協調型:しっかり相手と向き合い理解し合おうと努力する、両者にとって良い解決策を探る、話し合いをする

4.結論先送り型:その場では話し合わない、対立に焦点を合わせない

いかがでしたでしょうか。人によって反射的にとってしまう傾向はそれぞれだと思いますが、時と場合、目的によって有効となる方法は異なるので、この1~4の中でどれが一番いい方法というものはありません。

ここでのポイントは、意見が対立したとき、反射的な反応を取らないということです。

例えば、普段から自己主張をすることが多い人は、多くの場面で自分の意見を通そうと対立を引き起こしがちです。普段から相手方に譲歩する傾向のある人は、自分が納得していないことや不快に思うことがあっても相手に譲ってしまい、不満をためてしまいます。

相手と意見が食い違ったときには、まず反射的に発言・反応しないことがポイントです。
その上で意見が対立してしまった時に、どんな解決方法があるのか考えていきたいと思います。

夜と霧の作者で心理学者のビクトール・フランクル博士も自分の反応を選択する力について下記のように述べています。

刺激と反応の間には、間(ま)が存在する。その間(ま)において、我々人間は、自らの反応を選択する力をもっている。そして、その「我々の反応」の中に、自らの成長と自由が存在するのだ。」

Viktor E. Frankl(ヴィクトール・フランクル)

刺激と反応の間にある間を認識するにはマインドフルネスが有効であると言われています。
マインドフルネスに興味がある方は下記のブログをご覧ください。

2. 意見の対立を解消する4つのステップ

人間関係について、心理学者のポール・スウェッツ博士はこんな指摘をしています。

「人間関係にひびが入ると、話し合いをすることは困難だ。むしろ、話し合いの結果、意見が衝突して敵意が生じ、人間関係にひびが入ったのかもしれない。しかし、4つの段階を踏んで適切なメッセージを伝えるなら、話し合いは最善の救済策になる可能性がある」。

この4つの段階とは次の通りです。

ステップ1 問題を明確にする

ステップ2 合意点を見つける

ステップ3 相手の気持ちを理解する

ステップ4 意見を冷静に述べる

1つ1つ確認していきましょう。

ステップ1「問題を明確にすること」

双方が同じ事について議論しているかどうか確認してみましょう。
というのも、多くの人は何かについて意見を対立させたり、揉めたときに、あとでそれが誤解だと気付くことが多いからです。

その場合、片方の発言が他方に誤解されているのですが、それに気づかず放置しておいたことが、もめごとの原因に繋がっていることがあります。

これは、議論している前提条件が異なっているという場合があります。ある論点で対立している時、そもそも、自分と相手が持っている背景の情報や見方が異なることで導き出す意見が異なるということがあります。

具体例:上司と部下との間で業務の進め方、優先順位の付け方で揉めてしまった時の事例

上司は部下が担当している業務の進め方に対して不満を持っています。部下としては、自分の中では合理的に業務を進めているつもりなのですが、毎回上司からは文句を言われてしまいます。

上司は所属している部門だけではなく、他の部門の動きや会社の経営方針を理解しながら業務を進めており、それを踏まえた上での優先順位を導き出しています。しかし部下はそういった情報を知らず、目の前の業務に追われながら所属する部門の動きだけを考えて優先順位をつけて仕事をしています。

そんな時は、「こういった状況から判断して、このような優先順位をつけたのですが、もし異なる見方があれば教えていただけますか?」と前提条件の確認や、何が問題になっているのかを双方で確認してみることが大切です。

ステップ2「合意点を見つけること」

問題の中に双方が合意できる点を、積極的に探っていきましょう。
そのためにも相手が本質的に求めていることは何なのか、本当の「問題」は何なのか、まずはそこを擦り合わせる必要があります。

具体例:生産性をあげよという社長から指令

生産性をあげよという指示が社長から出た際、各人が考える「生産性」のイメージはそれぞれです。

人によって一人当たりの労働時間の長さを問題にして、労働時間を短縮することを考える人もいれば、売り上げを伸ばすことを考える人もいます。

この場合、社長からの指示が出た際、何をゴールにするのか事前に社長と部のメンバーと合意していれば、その後の議論がしやすくなります。

大きなすれ違いを生まないためにも、全員の合意点を見つけて進めていきましょう。

ステップ3「相手の気持ちを理解すること」

すべての人は自分を理解してほしいと思っています。そこで議論する時には、「お気持ちはよくわかります」「はい、私もそう思います」というような共感の気持ちを伝えていくことが大切です。

特に「Yes, And (イエス・アンド)」のマインドを持って、双方が合意できる点を共感をもって見つけていきましょう。これは、相手の警戒心を解くことにも繋がり、デザイン思考に必要なマインドだと言われています。

Forbes Japanの中で「日本になくて、シリコンバレーにある「Yes And」のマインド」という記事が出ていますが、否定することなく、相手の考えをいったん受け入れいくことがいかに大切なのかが分かりますね。

「Yes, And (イエス・アンド)」で対話を続けていくと、相手は心を開いてあなたの主張を受け入れやすくなり、次の段階に進む準備が整っていきます。

ステップ4「意見を冷静に述べること」

この時ポイントとなるのは、「私が思うには~」や、「私の見るところでは~」とアイメッセージで切り出すことです。あくまで自分を主語にして、自身の意見をできるだけ冷静かつ簡潔に述べるといいでしょう。

アイメッセージとは、自分を主語にして自分の思いや感情を伝えるコミュニケーションで、米国の心理学者、トマス・ゴードン博士によって提唱されました。

具体的には、「私」を主語にして、自分自身がどう感じているかという思いを語ることです。
伝えたことに対して、どうするか・どう行動するかの選択権は相手方にあります。

アイメッセージは、あくまで自分の気持ちや感情を述べているに過ぎず、相手を責めることもないので、議論をする際には非常に有効なコミュニケーション方法となります。

「アイメッセージ」に反するものとして、「ユーメッセージ」があります。

非難、評価、説教、指示などのメッセージがそれにあたります。

「(あなたは)こうするべきだ。」「(あなたは)○○をしなくてはいけない」など、相手を主語としてしまうメッセージです。

他には、「一般的には~」「常識的には~」「今まで~」「みんなは~」と議論がヒートアップしてくると、自分の意見にも関わらず、一般論にしがちです。

必ず自分を主語にしたアイメッセージで、ステップ1~3で相手と築き上げた信頼をベースに冷静に自身の意見を伝えてみてください。

3. まとめ

いかがでしたでしょうか?

職場や学校、家庭の中で意見が対立することは今後も起こりうることだと思います。人が真剣に関わっている中でお互いの意見が異なり対立が生じるのは当たり前のことです。

対立が起きること自体は問題ではありません。組織やチームを活性化していくためには、この対立を通してどのように互いを理解し合えるかが大切です。

対立が起きてしまった時、反射的に反応するのではなく、何がこの論争の問題になっているのか、相手の気持ちに寄り添い、互いに歩み寄れる着地点を冷静に見つけていきましょう。

どんな時もコミュニケーションの基本は、相手への尊敬と信頼です。
対立を恐れることなく、自身の正直な気持ちを伝え、相手との関係性を深めていきましょう。