「学校以外はゲームばっかりで大丈夫だろうか?もっといろいろな体験をして欲しい」

「将来のためにもたくさんのことに興味を持って欲しい」

「いろいろなことを自分で体験して視野を広げて欲しい」

子どもが視野を広げて自分の好きなことを探して、自分らしく幸せな人生を歩めるようになって欲しいと思っている方は多いのではないでしょうか。

今回のブログでは「視野を広げる」について、そのメリットや具体的な方法についてご紹介します。

ー目次ー
視野とは?視野の意味:
「範囲」とは何を指すのか?
視野が狭いデメリット
視野が狭い理由
視野を広げるメリット
視野を広げる方法

視野とは?視野の意味:

そもそも視野とは何を指すのか。

三省堂 大辞林 第三版の辞書で「視野」と調べると下記の4つの定義が記載されています。

① 一点に視線を固定したままの状態で見ることのできる範囲。視界。 

② 望遠鏡・顕微鏡などで像の見える範囲。

③ 思慮や判断の及ぶ範囲。識見。 「広い-から判断する」

④ 起こりうる可能性として考慮すべき範囲。 「交渉再開も-に入れる」

視野を広げるという点では上記の3と4がもっとも当てはまります。

上記の定義を見ると、視野は単なる知識の「量」なのではなく、考えることができる「範囲」に注目していることが重要です。

知識を増やすこともとても重要ですが、その知識を活用して考える範囲を広げていくことが視野を広げるということがわかります。

「範囲」とは何を指すのか?

思慮や判断のおよぶ範囲という定義の中で、範囲は何を指すのか。

人が思考や判断をする際にはまずスタート地点として自分が存在します。

スタート地点は自分ですが、年齢や経験を積むことによって自分だけではなく、周りのことも考え始めることができます。

子どもの成長をイメージしてみてください。産まれたばかりの赤ん坊は自分視点や自らの経験しか頼りにすることはできません。

成長するにつれて周りの世界を理解し始め、自分以外の人たちの感情や考え方を認知する力がついてきます。

思考や判断の範囲が自分だけではなく、身の回りの家族や学校の友人や自分が属しているコミュニティの知人へと広がりを見せていきます。

さらに年齢や経験を重ねることで地域社会や国などへと思考が広がり、地球全体であったり、将来にくるであろう次世代などへと思考や判断の範囲を広げていきます。

視野を広げるというのは自分を中心としながらも、自分の周りのことを時間軸も含めてより広い範囲でみていくことを指しています。

視野が狭いデメリット:

「視野を広げたい」などの願望や「視野を広げろ」などの指示をよく聞きますが、視野が狭いままだとどのようなデメリットが存在するのか。

視野が狭いと、一つの出来事や考え方そのものしか見えなくなり、それが周囲に与えている影響や全体の中での動きが見えなくなってしまいます。

個別事象に振り回され、全体の傾向や長期的な見通しができなくなるため、短期的な利益や問題解決ができても長期的に見ると自分や周りにとってもマイナスになってしまう思考や判断を行ってしまう可能性が高まります。

例えば、企業が自社の利益のためにたくさんの製品を作りたいがために工場をたくさん作ることはお客さんにも企業にとっても短期的にはいいかもしれませんが、工場の汚染等で長期的には地域の環境や地球自体に悪影響を与える状況になってしまっているかもしれません。

また、上記でも記載した通り、思慮や判断は自分を中心に周りへと広がっていき、さらに今だけではなく将来などを含めた時間軸の範囲が加わっていきます。

視野が狭いままだと自分中心の判断や思考になりがちです。

その状態では大きな思い込みや偏見をもったまま世の中を見るようになってしまいます。

視野が狭い理由

ではなぜ視野が狭い状態になってしまうのか。

視野が狭い状態になってしまうのはいくつか要因がありますが大きく分けると下記が考えられます。

1、知識や経験が足りない

たくさんの知識を持ち、それらを活用しながら経験を積んでいる人は様々な状況において物事を考える引き出しを多く持っています。

逆に、知識や経験が不足してしまうと多様な視点から考えることが少なく、また自分自身の考えが至らない状況にすら気づかない可能性もあります。

「井の中の蛙大海を知らず」ということわざに表されているように、自分の考え方がより大きな世界の中でのごく一部であることに気づかず過ごしてしまっているかもしれません。

2、感情にとらわれている

知識や経験を積んでいても、視野が狭くなってしまう状況があります。

それは強い感情にとらわれてしまっている状態です。

強い怒りや悲しみなどにとらわれている状態では、冷静に物事を多面的にみて判断することは非常に難しくなってしまいます。

強い感情は行動を起こす上では大事な原動力にもなり得ますが、視野を広げていく上では考え方を制限させてしまうこともあります。

視野を広く持ち続けるためには知識や経験に加えて、落ち着いた状態を保つことも重要になります。

視野を広げるメリット

では具体的に視野を広げるとどのようなメリットがあるのでしょうか?

視野を広げるメリット①:物事の本質・つながりが考えられる:

広い視野を持って物事を考えることによって物事の繋がりや本質を考えることが可能になります。

「問題は、それが起こった時と同じ意識レベルでは解けない」(アルベルト・アインシュタイン)

The problems that exist in the world today cannot be solved by the level of thinking that created them. (Albert Einstein)

上記の発言のように、同じ範囲での思慮や判断では社会は進歩することができません。

これは社会に限らず、個人レベルでも同様に考えることができます。

自分の視野を広げることで新たな視点や考え方を取り入れ、それらを自分が抱えている課題に当てはめることで個人としてもレベルアップし続けることが可能となります。

また、範囲を広げていくことで自分だけに限った判断や思慮ではなく、周りのことを考えられるようになり、より多くのことに興味・関心を持って接することができる。

より多くのことに興味関心を持って接することで、異なる分野での繋がりも見えてきます。

視野を広げるメリット②:応用力・発想力・分析力が高まる

上記でも記載している通り、より多くのことに接する中で異なる分野でのつながりが見えてきます。

一つの分野で通用した成功方法が実は他の分野にも応用できたり、または他の分野と組み合わせることで今までにはなかった考え方や発想をすることも可能になります。

例えば、スティーブ・ジョブズがスタンフォード大学の卒業式で行ったスピーチの中では、異なる分野に興味を持って接したからこそその後の人生に大きな成功をもたらした話を共有しています。

当時大学生であったジョブズはカリグラフィー(書体のデザイン)について学んでいました。大学生時代に手書きで実現される美しい字体に触れたことがその10年後に、最初のマッキントッシュを設計した際にいかされました。

美しいフォントを作るという視点は当時は誰も持っていなかった中、ジョブズは自らの経験からその視点を自分の製品とビジネスへ注ぎ込みました。

カリグラフィーとコンピューター設計など一見関係のなさそうな分野での組み合わせによって今まではなかった新たな価値観と製品を世の中へと提示することができています。

ジョブズは点と点をつなげること(connecting the dots)の重要性を話していますが、視野を広く持たなければ実現できなかったことでしょう。

視野を広げることは、創造的なアイデアを生むベースにもなると言えるでしょう。

視野を広げる3つの方法

視野を広げることのメリットや視野が狭いままでのデメリットなどを共有してきましたが、それではどのようにすれば子どもの視野を広げることができるのか。

1、自然体験

視野を広げるためには普段は接することのないものや見たことのないことに直接触れて、興味を持ったり、疑問を感じることがいいと言われています。

新たなことに触れるという点では、旅行などもいい選択肢ですが、より身近な選択肢として、大きな公園や郊外で自然と触れることはいかがでしょうか。

現在の子どもたちは普段から自然に接する機会が少なくなっているとも言われています。

山や川や海のような自然と直接触れる中で感覚が刺激され、新たな経験を積むことができます。

また、自然体験を通して実際に触れたことに対して「なんで〇〇は〇〇なのだろう?」などと考えることによって物事の仕組みや時には学校で学んでいることとの繋がりなどにより深く興味を持つきっかけにもなります。

2、本をたくさん読む

多様な視点を手に入れるためには触れたことのない世界に触れる機会が有効です。

中でも、多くの人がアクセスしやすいのが本です。

本を通じて、自分とは異なる環境、国、時代の人たちの考え方や生き方に触れることができます。ストーリー等を通じて、他人の感情に触れることができ、実際の生活の中でも周りの人たちの感情や考え方に思いを馳せることもできるようになります。

また、自分が全く知らなかった世界に触れる機会でもあり、将来なりたい職業であったり、成し遂げたい夢などに出会える可能性もあります。

2008年に行われた研究によって、読書に親しむ習慣を作る上で、自ら選択することが重要だということが分りました。親や先生から勧められた本よりも自らが選んだ本の方がより楽しめる傾向があり、読書に親しむ習慣を作りやすい。(Clark and PhythianSence, 2008)

また2006年の研究では、親が本を読む習慣を大事にしている家庭の方が子どもが本を読むことを好きになる可能性が高まると発表されています。(Clark and Rumbold, 2006)

OECDが2002年に発表した研究では楽しく読書に取り組んでいる子どもの方が学校の成績がよく、家庭の経済的な状況よりも日頃どれだけ読書に親しんでいるのかの方が成績に与える影響がよ強いと発表しています。

3、新しいことに挑戦することをサポート

本を読むことや自然体験に関して紹介しましたが、視野を広げるために親が日常的にもできる最も大きなサポートは新しいことに挑戦することをサポートすることです。

新しいことに挑戦して、時には失敗などもしながら新たな視点や考え方を身につけていくことができます。

近年では、新しいことに挑戦する姿勢や考え方をグロース・マインドセットと称しており、その育み方に関する研究が行われています。気になる方は下記の記事をご覧ください。

上記のスティーブ・ジョブズのスピーチで、ジョブズは「点と点をつなげる」ことの重要性について言及していましたが、合わせて説明していたのは、「点と点をつなげる」というのは振り返ってみてはじめて言えることであるということです。

当時、大学生でカリグラフィーに取り組んでいた際には将来的にこれをビジネスでつなげることなどは見えていなかったが、自分の興味関心にしたがっていつか、どこかで今取り組んでいる事ごとが繋がっていくことを信じて挑戦する力が必要だと話しています。

その精神を表すかのように彼はそのスピーチを「Stay hungry, Stay foolish」という言葉で締め括っています。

いつまでもハングリー精神を持ち、周りの常識などにとらわれず外から見たら一見おろかにも見えるような挑戦をし続けることで自分の視点や考え方、引き出しを増やすことができます。

また、お子さんに視野を広げろ!挑戦し続けろ!と言いつつ自分の言動がそれらと反している場合は効果が薄れてしまうとも言われています。教育ではモデリングの理論と言われており、再現して欲しい言動を自らが示すことが重要だと言われています。

ぜひお子さんの視野を広げるためにも皆さんも一緒に視野を広げる挑戦をしてみてはいかがでしょうか。