「もっと全体に与える影響を考えた上で行動してほしい」「一時的なことだけでなく長期的な視点も持って企画・行動してほしい」

クラスや部活であったり、職場でのプロジェクトを動かす上で上記のような指摘をされたことがある方もいるのではないでしょうか。

世界経済フォーラムが2020年に発行した「The Future of Jobs Report 2020」では2025年に必要なスキルのトップ10としてもComplex Problem Solving(複雑な問題の解決能力)があげられています。複雑な問題ほど詳細の部分と全体像の両方を把握した上での行動が必須となります。

複雑性が増している社会と言われるVUCA時代には様々な要素が絡み合う複雑な問題が多く存在しており、全体像を把握する俯瞰力の必要性が近年増しているのではないでしょうか。

今回の記事では全体を把握する俯瞰力について紐解きながら紹介します。

もくじ
1: 俯瞰する力とは?
2: 俯瞰力の重要性
3: 俯瞰力の鍛え方・トレーニング
4: まとめ

1. 俯瞰する力とは?

俯瞰という言葉を辞書で調べると

① 高いところから広く見渡すこと 

②広い視野をもつこと 

等の定義がみられます。

鳥瞰(ちょうかん)という言葉も俯瞰という言葉に関連してでてくることが多いです。空を飛んでいる鳥のように高い立ち位置から物事を見ることで、より広い範囲を見ることをイメージした言葉になっています。

客観的という言葉も俯瞰と似た言葉として活用されることもありますが、客観的とは主観との対義語であり、第三者の立場から物事を見るという言葉になります。主から一歩離れた場所から対象に焦点を当てるという点では重なる部分もありますが、より広い視野をもつという意味合いは客観的という言葉本来は含まれていません。

俯瞰力とはより広い視野をもって、物事や状況・事態を眺める力のことを指します。

俯瞰力としても紹介されるメタ認知についてもっと詳しく知りたい方はこちらをご覧ください。

2. 俯瞰力の重要性

多くの問題は一つの要素がひとつの結果を招いているというシンプルな構造ではなく、複数の要素がお互いに絡み合い、影響しあうことで問題が表面化しています。また表面化している課題が本質的な課題の一部しか表していないことも多々あります。

そのため、表面化している課題だけに焦点を当て解決策を施しても、課題の本質的な解決にはなりません。

例えば、表面化している課題が処理したい雑草だとしたら、地面の上にでている雑草の葉っぱや枝を処理したところで課題の本質である根っこを取り除くことにはつながらなかったり、そもそも雑草が生えてしまう土や水などの環境に焦点を当てなければより効果的な解決策にはたどり着けないかもしれません。

課題の一部である枝葉にばかりに目を向けてしまうと一旦、解決したように見える課題も時間が立つと同じ課題がまた出てきてしまったり、または別の形で課題が表面化してしまいます。

そのため、どのような要素がそもそも絡んでいるのか。

また課題の本質は何なのか。

と部分だけではなく、より広い範囲での全体像を把握するための取り組みが重要になってきます。そのためには、物事を俯瞰する力が必要になってきます。

複数の要因がお互いに影響をする関係性をみることで解決策を見出すシステム思考に興味がある方はこちらをご覧ください:

もちろん将来的にビジネスでのプロジェクトや判断をする上で活用できる俯瞰力ですが、学校生活でも活用できる大切なスキルです。

例えば、部活動で中々大会に勝てないといった場合、試合に対して練習を強化させようとするかもしれません。

ただ、大会の勝敗だけではなく、チームの状況をより広く見た時に練習内容や強度では解決できないより本質的な課題が見えてくる可能性があります。

チーム内のコミュニケーションが円滑でなかったり、先輩と後輩の学年間の人間関係がぎくしゃくしていたり、自分の意見を言えない状況だったりとチームが結果を出せないのが練習の内容等よりも人間関係が敗因の要素にあることだったり、または主要メンバーのメンタルモデルが「自分は無理かもしれない」と思い込んでしまっている等のメンタル的なところが課題として浮かび上がってきた場合、単なる練習の強化という解決策ではない方法が必要となってきます。

このように、部分をみるのではなく全体像をみることによって問題の本質をより理解した上で行動を起こすことが可能です。

3. 俯瞰力の鍛え方・トレーニング

では具体的にどのようにすれば俯瞰力を高めることができるのでしょうか。

俯瞰力を高める方法 ①:自分のことを客観的に捉える

俯瞰力を高めるためには物事をより広い範囲で考えることが重要です。

多くの場合、自分の思考を狭めてしまうのは自分自身です。

自分がその時に抱えている感情や過去に経験した成功体験や、自分の長所や短所や課題によって、物事の解釈や思考の傾向が固まっていきます。

自分の感情を表すことや成功体験を積み重ねること、それによって自分の考えや考え方が確立するのはとてもいいことでもありますが、場合によっては自分自身の経験等に縛られて物事を狭い範囲でしか見られない状況を作り出してしまいます。

そのため、自分がどのような思考の傾向をもっているのかを理解することが重要になってきます。

自分の価値観、経験によって思考がどのような方向に引っ張られる傾向があるのかを把握することで、自分が今抱えている物事の解釈や見方がその傾向に引っ張られてしまっていないかを確認することができます。

自分の価値観や傾向を知り、自己理解を高める方法についてもっと詳しく知りたい方はこちらの記事をご覧ください:

俯瞰力を高める方法 ②:振り返り

自己理解を高める上でも重要な要素になりますが、俯瞰力を高めるためにも振り返りは効果的な方法です。

目の前で起きていることを常に俯瞰して捉えるのはとても難しいです。ただ、その瞬間に俯瞰して捉えることができなくても、振り返る時間を設けて、改めて考えることによりその瞬間では把握できなかったより広い視野で物事を捉えることが可能です。

また、時間をおくことでその時の感情に振り回されず、より落ち着いた状況で考えることで、見えてくることも異なってきます。

一人で振り返ることもできますが、振り返りを習慣化するためにもまずはお子さんと一緒にできる振り返り方法を試すのが効果的です。お子さんと一緒にできる振り返りについてもっと詳しく知りたい方はこちらを参考にしてください:

4. まとめ

今回の記事では俯瞰力の意味、その重要性と鍛え方について紹介してきました。

常に俯瞰して物事をみることはとても難しいことですが、日々の積み重ねによって自分の視野を広げて物事をより大きな範囲で捉えることは可能です。

ぜひ皆さんも俯瞰力を高める行動に挑戦してみてください。