スポーツ心理学では「ピーク・パフォーマンス (Peak Performance)」という考え方があります。「ピーク・パフォーマンス」とは、「フロー状態(または”ゾーン”)」としても知られ、集中力が非常に高まり、感覚が研ぎ澄まされ、活動に没頭できる意識状態を指します。

この記事では、ピーク・パフォーマンスに入るためにアスリートが試合前にしている準備を応用して、受験前にそれぞれ30分ほどでできる準備を、受験前の期間別に紹介します。

受験される方も周りの方も確認し、より良い体調・精神状態で試験に臨んでいけるようにできればと思います。ぜひ読んでみてください。


スポーツ心理学について、下記のブログからも概要やスキルの鍛え方などが読めます:

もくじ
1: 受験2週間前の過ごし方
2: 受験1週間前の過ごし方
3: 受験前日の過ごし方
4: おわりに:試験当日できること

1. 受験2週間前の過ごし方

受験2週間前からは、当日まで少しずつ行うことで「ピーク・パフォーマンス」を発揮できるよう心と体を整えます。不安を和らげる方法、勝ちパターンを把握する方法、試験前日夕方~当日をイメージして準備する方法を紹介します。

1.「リラクセーショントレーニング」で不安を和らげる

日常生活の中で実行可能な自分なりのストレスの対処法を試し、少しずつ試験の不安を和らげるのが効果的です。ストレスを和らげるには心理学として主に「リフレッシュ」「リラクセーション」「リフレーミング」の3つの方法があります。自分がやってみたいな、合っているなと思う方法を試してみてください。

● リフレッシュ:行動によって気分を切り替える
  ・好きな音楽・動画鑑賞を楽しむ
  ・運動やウォーキングをする
  ・カラオケをする
  ・愚痴を言う etc.

● リラクセーション:リラックスして気分を安定させる
  ・ボーッとする、休憩する
  ・ストレッチをする
  ・呼吸法を行う
  ・入浴をする etc.

● リフレーミング:自分に向けているネガティブな感情や言葉に気づく・修正する
  ・自分で自分にプレッシャーをかけすぎてはいない?何をストレスに感じているの?と自問する
  ・重く受け取りすぎているのではという事象や言葉を思い返し、自分にとっての意味を捉え直す
  ・自己嫌悪している自分に気づき、自分を励ます言葉をかける
  ・発する言葉をポジティブにする・言い換えてみる etc.

自分に向けて思いやりをもつセルフコンパッションについてもっと詳しく知りたい方は下記をご覧ください:

2.「ピークパフォーマンス分析」で自分の「勝ちパターン」を把握する

自分のパフォーマンスが発揮され、成果が出たときのことを思い出します。テストのときでも、部活のときでも、授業のときでも「これまでになく最高だった」という経験です。自分のなかにある経験で一番良いものなら何でも構いません。

ノートや紙を用意して、以下の3点について思い出して書き出します。

● <目標・前提>そのテスト・試合・授業等は自分にとってどんな意味がありましたか?その時の目標は何でしたか?
● <直前の考え・行動>テスト・試合・授業等の前にはどんなことを考えていましたか?そのときに特別にや無意識にした行動はありましたか?
● <最中の考え・行動>テスト・試合・授業等を行っている最中、どのようなことを考え行動しましたか?体の感覚・状態はどうでしたか?

ここで書いた記述から、自分がピークパフォーマンスを発揮できる条件について、下記の質問に応じて書き出します。

● <目標・前提>今控えている試験は、自分にとってどんな意味がありますか?目標は何ですか?
● <直前の考え・行動>試験の前にはどんなことを考えるのが良いでしょうか?ルーティンなど、した方がいい行動は何でしょうか?
● <最中の考え・行動>試験を行っている最中、どのようなことを考え行動しますか?体の感覚・状態を整えるためにどうしますか

もし書き出すことが難しい項目があっても、思い浮かんだことがあれば寝る前などに追記するようにして、試験に備えていきましょう。

3.「イメージトレーニング(イメトレ)」で試験前日夕方~当日を想定する

試験前日の夕方~当日を想定しておくことで、当日までに気をつけておくことなどを整理することもできます。

試験前日に夕食を食べる~学習・持ち物の確認をして就寝~当日起床~洗顔・着替え・朝食~出かける準備~出発~試験会場までの道のり~試験会場着~会場内移動~試験~試験終了、と時系列で、自分のすることをイメージしていきます。

また試験中のイメージでは
  ● スラスラと試験を解いている自分
  ● 落ち着いて数教科の試験や面接をこなしている自分
  ● 苦手な出題があっても問題文を良く読んで最後まで回答している自分
などの姿を描くと良いでしょう。

イメトレで自分がしておくと良いことなどに気づいたら、書き出したり翌日以降の学習や準備に反映したりすると、より効果的に試験前の時間を過ごすことができます。

不安な感情はなぜ起こるのか?なぜ日本人は不安を感じやすいのか?についても研究から明らかになっています:

2: 受験1週間前の過ごし方

受験1週間前には、当日を想定して「ピーク・パフォーマンス」が発揮できる時間管理・体調管理を行っていきます。次のような準備をぜひ試してみてください。

1.タイムスケジュールの調整

1週間前からは、起床時間、朝食や学習の時間を試験当日に合わせることも重要です。例えば、試験が午前と午後に行われる場合には、その時間に合わせて朝食・昼食を取り学習して過ごします。

学習時間には、過去問や予想問題などを試験時間以内に解くのも効果的です。タイマーやチャイムの代わりのアラームなどをセットして実施します。休憩時間も当日の時間配分と同じにして、1日過ごしてみるのも良いでしょう。

2.体調管理

1週間前からは特に体調に気をつけて過ごしましょう。暖かくして過ごし、免疫を高めます。免疫力を高めるためには、決まった時刻に起きて食事をとり、身体を動かすことが大事です。休憩や学習の前後の時間には散歩や運動をするなども良いです。

睡眠も非常に大切です。睡眠不足は免疫力を下げ、企業の労働者約3,000人を対象にした調査では、業務効率が40%ダウンしていたという試算もあります。集中力・判断力の低下やケアレスミスを誘発することも知られています。試験前日まで、7~8時間の睡眠を続けましょう。

また前述したリラクセーショントレーニングやイメージトレーニングも続け、当日をより良い形で迎えられるように調整していきましょう。

イメージトレーニングに関連して「自信のつけ方」についても、下記のブログで紹介しています:

3: 受験前日の過ごし方

受験前日は、1週間前から整え始めたタイムスケジュールや体調を維持し、最後の仕上げと準備・チェックを行います。

1.学習

試験前日には余計な刺激や不安を誘発しないために新しいことに取り組まず、今まで学習したメイン教材や教科書、ノートなどを見返す「復習を中心にした学習」が良いとされています。当日に今まで積み重ねてきたものを発揮できるよう、知識を整理するつもりで取り組みましょう。

2.食事と睡眠

「受験1週間前の過ごし方」でお知らせしたように、試験当日と同じように起床し朝食を取り、試験時間と同じように学習をし合間に昼食をとって、7~8時間の睡眠時間を取りましょう。

食事は胃もたれを避け消化の良いものを食べると良いです。下記をバランス良く腹八分目食べて、当日に備えましょう。ゼリー・プリンなど消化に良いお菓子も良いでしょう。

● 炭水化物:ご飯、パン、おうどんなど
● タンパク質: 油の少ないお肉、白身魚、卵、大豆製品(お豆腐など)
● 野菜類、果物

3.試験前の準備&持ち物チェックリスト

事前に入試会場までの行き方を確認しておきましょう。また翌日の天気予報の確認をしておき、雨や雪が想定される場合はその分余裕を持って、「1時間~30分前」に試験会場に着くように出発時間を計算しておきます。

また2週間前の過ごし方で紹介した「ピークパフォーマンス分析」で思い出した自分の最高の経験やその時の条件を書き出したノートを見返すのも効果的です。

持ち物として、入試要項に書いてあるものや下記を確認して、翌日持っていくカバンに入れておきましょう。

● 受験票、身分証(生徒手帳)
● 筆記用具(鉛筆・シャープペンシル、消しゴム、鉛筆削り・替芯など)
● 腕時計
● お金、ICカード
● マスク、使い捨てカイロ、ハンカチ、ティッシュ
● 携帯電話
● 問題集、参考書、ノート
● 昼食/軽食、飲み物

4: おわりに:試験当日できること

試験に向けて緊張が高まり、当日の雰囲気に圧倒されることもあるでしょう。そんなときは「みんな同じように緊張している」と、1~2度深呼吸をし、リラックスすることを心がけてみてください。

休憩時間は小さなブドウ糖キャンディーやタブレット、あめ玉やチョコレートで糖分補給すると、リラックス効果もあるのでおすすめです。

試験を受ける皆さんの実力が存分に発揮されるよう、応援しています!